研究概要 |
申請時の研究項目とその達成目標,及び,平成24年4月までの達成内容と達成度を評価する ・高性能ホログラフィックレーザー加工システム1000並列加工を目標としているが,現時点では,その目標にはチャレンジしていない.その前段階として,並列加工をどれだけに密にできかを実験的・理論的に検証した(App1.PhysAinprint). ・2倍波パターンの観測による計算機ホログラムの最適化この手法の定量的評価を行い,有効性を実証した.(OptLett.36,2943,2011) ・各種デバイス試作ガラス内部加工により時空間レンズ用の円形回折格子を作製した.回折効率が1%以下であったため,次は表面加工の作製を行うこととした.ラインビームにより,ITO薄膜の剥離加工や金属の溝加工を実証した.この結果は,企業の関心を引き,共同研究に繋がった. ・レーザー誘起現象の時間分解観測ガラス内部にフェムト秒レーザーが集光照射されてから,構造変化が起こるまでの素過程を時空間的に観測し,新しい現象をいくつか発見できた.(OptExpress19,5725,2011)(Opt.Mat.Express1,1399,2011). ・パルス照射に伴う物質の屈折率の定量評価構造モデルのFDTD計算と回折計算と実験結果の比較から,構造のサイズや屈折率を推定する新しい手法を開発した(OPJ2011で発表) ・補償光学系の導入当初,加工システムにデフォマブルミラー(DM)を導入予定であったが,DMのダメージしきい値が問題となった.現在,DMの製造会社との共同研究により,DMのダメージしきい値の測定を行っている. ・時空間レンズ現在,我々の提案した「ホログラフィック時空間レンズ」の基本特性の評価は終了し,集光特性が優れる新しいタイプの「ラジアル時空間レンズ」を考案し,実証実験を行っているが,特殊な光学素子である円形回折格子が必要なため,色々な手法により製作を行っているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請書に記載されていることは,ほぼ達成できていること.それを通して,2件の企業との共同研究を実施していること.当社計画していなかった,ベクトル制御型(偏光制御型)の加工システムを構築できたこと,ホログラフィックフェムト秒レーザー加工法の本質的な問題のである波長分散を低減する新しい手法を開発した.10mm×5mmの大面積グレーティングを試作したこと.平均穴径271nmの18並列加工実施したこと.パルス幅35fs,波長幅30nmのパルスによる加工の特性を評価したこと.蛍光色素をドープした光硬化性樹脂を用いた2光子マイクロ造形を実現したこと.等,計画以上の研究成果が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
ベクトル制御型ホログラフィック加工システムの高性能化,新規デモンストレーションを実施すること.現在でも、世界最高性能のホログラフィック加工システムであるとの自負があるが,補償光学の導入など,世界の先頭を走る,高機能・高性能加工システムを構築していく,これまで以上に,我々の加工技術を駆使して.フェムト秒レーザー加工の特性をうまく使ったデモンストレーションを積極的に展開すると共に,共同研究を通して,我々の技術を社会に広めていくことを続ける.現在,極超短パルスのフェムト秒レーザー加工にチャレンジしている.極超短パルス化は,加工サイズを光軸方向に縮小できる可能性が有り.波長分散の補正など,多くの難しい問題もあるが,究極の技術を求めて,開発を進める.
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