研究課題
本年度はBIB貼り合わせプロセス時のパラメータ出しと、そのバラメータに伴う検出器応答特性の調査を行った。貼り合わせ時のアルゴンビーム照射時間と、それに伴う半導体表面粗さの変化、及び貼り合わせ強度、ボイド発生頻度等の調査を行い、その結果今回の製作に用いるGe半導体では、これまで主に用いてきたSi半導体と異なり、100秒程度の照射時間で十分な貼り合わせ特性が得られる事が明らかとなった。一方貼り合わせ界面のTEM観察から、界面に厚さ8nmのアモルファス層が認められることが明らかとなった。アモルファス層中にはEDS解析よりAr原子の混入が認められることから、この層はArビーム照射によるダメージにより生成されたものと考えられる。貼り合わせたウェファから単体検出素子をプロセスし、その検出動作特性の評価を行った。その結果、BIB検出器特有の非対称性を示す、良好な検出電気特性を得ることに成功した。その一方で、検出器光感度は0.1[A/W]程度の低いものに留まった。この為作成した検出素子に500℃3時間のアニーリングを施し、結果最大10[A/W]程度の非常に良好な検出感度を得る事に成功した。以上の結果を、国内・海外の複数の学界にて発表し、発表論文にまとめた。(研究発表の項参照。)アニーリングによる感度向上は、貼り合わせ界面の再結晶化が理由と考えられる。一方アニーリングによる素子加熱プロファイル(到達温度・加熱継続時間)はコントロールが難しく、実際に得られる感度特性にもアニール毎のばらつきが大きく、安定した結果が得られなかった。この為アモルファス層を可能な限り生じさせない事をめざし、アルゴンビーム照射時の加速電圧を一般的な1.5kVから0.75kVに半減させた試験を行い、貼り合せ強度に変化の無い事を確認した。
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Proceedings of Infrared Millimeter and Terahertz Waves (IRMMW-THz), 2010
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