研究課題
本年度は、2次元に狭域化した非線形光導波路を用いて広帯域化、スペクトル平坦化の実験を行った。旧来のバルク型非線形光学結晶によるテラヘルツ波発生では、励起光のビーム径が結晶内でのテラヘルツ波長より大きい事からテラヘルツ波が進行方向において位相不整合となり、効率を著しく低減している。一方、励起光の光路を導波路化することで位相不整合が解消され、発生効率を増大させる事が可能である。励起光源として我々の研究グループが以前に開発した超短パルスファイバレーザを用いた。1560nmポンプ光は、チョッパーを通過し、焦点距離4.5mmの非球面レンズを用いて集光した後、MgO:LiNbO_3結晶のリッジ導波路端面に入射させた。発生したテラヘルツ波は放物面鏡を介して検出用の光伝導素子上に集光した。一方、780nmプローブ光は光路長を調整iした後に、焦点距離18.4mmの非球面レンズで集光し光伝導素子上に照射した。また、結晶内からテラヘルツ波を取り出すため、図3のようにPETフィルムとシリコンレンズを圧着させることとした。リッジ導波路を用いたチェレンコフ型位相整合方式によって、パルス幅約160fs、スペクトル帯域5THzまでのテラヘルツパルスが得られた。
2: おおむね順調に進展している
リッジ導波路を用いた結果、スラブ導波路と比べて、ややピーク強度が小さい結果が得られたものの、パルス幅は短くなったため、トモグラフィー用光源開発としてはおおむね順調に進展している。また、この原因は、励起光が導波路に適切に入射していないことが判明しており、解決可能である。
検出したテラヘルツ強度が計算に較べてやや弱く、周波数帯域が狭いという課題について、テラヘルツ波の発生源が一点ではなく、ある程度導波路方向に長さを有している事も考えられる。今後、この点を考慮した円錐を切った特殊な形状のSiレンズを導入することで、テラヘルツ波を適切にコリメートし、結果として効率良く検出側の光スイッチに集光できるものと考えられる。
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