研究課題
従来のテラヘルツ波発生では、光パラメトリック発振器(OPO)の共振器内に非線形光学結晶KTPを2つ挿入し、それぞれで赤外レーザー光を発生させて差周波発生用の2波長励起光光源としていた。しかしながらこの2波長間でテラヘルツ波発生に不要な波長の立ち上がりや、結晶内で四光波混合が生じる問題が生じた。そこで、本年度は新たにタンデム配置のOPOを2つ構築し、それぞれの共振器内で独立に赤外光を発生させた。条件を検討した結果、2波長の線幅、強度バランスが取れた励起光光源の開発に成功した。従来型とタンデム配置とでの2波長の出力相関図の比較を行ったところ、従来型では-0.45595で負の相関であるのに対し、タンデム配置では0.46964と正の相関と良好な結果を得ることができた。有機非線形光学結晶DASCの薄板結晶(厚さ60μm以下)を温度降下法により成長させ、反応性イオンエッチング(RIE)及び紫外レーザー加工を用いて導波路素子作製を行った。RIEの反応ガスには酸素を用いた。作製した導波路の断面は幅145μm×高さ34μm、b軸伝搬方向の長さ1.2mmであり、主眼となっているテラヘルツ波1THz(波長300μm)に対してサブ波長サイズを実現した。外周部をテラヘルツ波帯域で高透過率を示すエポキシ系の紫外線硬化樹脂により周囲を覆い、テラヘルツ波伝搬用のクラッド層を形成した。波長1562nm、1578nmの2波長赤外レーザーの入射により、サブ波長導波路からのテラヘルツ波信号検出には成功したが、レーザー入射後に生じる端面損傷によりテラヘルツ波スペクトルの計測には至らなかった。結晶断面の研磨加工、及び導波路周囲の樹脂部分の保護対策が課題であることが明らかになった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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