研究課題/領域番号 |
22360034
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所 |
研究代表者 |
武居 弘樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (60393790)
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研究分担者 |
清水 薫 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主幹研究員 (50426607)
納富 雅也 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主幹研究員 (50393799)
倉持 栄一 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (10393802)
松田 信幸 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 研究員 (10587695)
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キーワード | シリコンフォトニクス / 量子光学 / 非線形光学 / シリコン細線導波路 / フォトニック結晶 / 量子もつれ |
研究概要 |
本研究の目的は,シリコン細線導波路,シリコンフォトニック結晶導波路などを含むシリコンフォトニクス技術を用いて,光子を用いた量子計算などの量子情報処理の発展に不可欠な「集積光量子回路」を実現することにある. 「シリコン細線導波路を用いたワンチップ偏波もつれ光源の開発」に向け,当初計画書に記載していた手法よりも大幅に簡略化された素子で偏波もつれ光子対を生成可能であることを見出し、特許を出願した。本素子は、長さの等しい2本のシリコン細線導波路が、シリコン90度偏波回転素子で接続された構造をとり、全てシリコン基板上に集積されている。作製した試料において通信波長帯光パルス励起を用いた実験を行い、雑音光子対を含めた忠実度91%という非常に高純度な量子もつれ光子対の生成を同じく通信波長帯において得ることに成功した。デバイスの全てがワンチップに集積された偏波もつれ光源の実現は世界初となる。 「シリコンフォトニック結晶素子中の増強された非線形光学効果の観測と高効率量子もつれ光子対生成」に向け、シリコンフォトニック結晶結合共振器光導波路におけるスローライト増幅効果による10,000/W/m以上という極めて高い光非線形性について論文にて発表した。本デバイスの石英系シングルモードファイバの約10^7倍で、シリコンをコアとする他のいかなる非線形導波路の中で最も高い値である。また、共振器数の少ない(10個程度)結合共振器におけるスーパーモードを用いることで、原子等の物質との相互作用や量子通信に必要とされる狭帯域光子対生成に必要な狭帯域(1GHz以下)なパラメトリック利得の観測に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・「シリコン細線導波路を用いたワンチップ偏波もつれ光源の開発」について、当初予定より大幅に簡略化された新規な素子を提案し、特許を出願した。更に提案の素子において実験を行い、雑音光子を含む忠実度として91%という高い品質の量子もつれを得ることに成功した。すなわち、オンチップ集積型偏波もつれ光子対源を世界に先駆けて実現した。・「シリコンフォトニック結晶結合共振器光導波路の非線形光学効果の観測と高効率量子もつれ光子対生成」において、フォトニック結晶結合共振器導波路中のスローライト効果を用いることで、10,000/W/m以上というこれまでで最も高い非線形定数を達成し、論文発表した。また当初の研究計画には無かったが、結合共振器の狭帯域光子対源への応用可能性を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、フォトニック結晶スローライトデバイスを用いた光子対生成の実験を行う。そのためには、素子への光結合効率が高い方が高いS/Nを得ることができる。現在入(出)射あたりの結合損失は-8dB程度であるが、スポットサイズ変換器を導入することで結合効率の向上を図る。
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