研究課題
本研究の目的は、超音波の高い内部透過性を活かした電気・磁気特性の非破壊・非侵襲イメージングの技術を開拓することである。提案する計測原理は、「超音波集束ビームにより対象物内の電荷(あるいは磁化)に時間・空間変調を与え、それに伴い発振される音響誘起電磁(ASEM)応答を検出し、対象物に内在する電気(あるいは磁気)情報を獲得すること」である。本研究は次の二つに分類される。(1)ASEM応答の新たな高感度測定技術の開発、(2)ASEM法の応用である。まず、(1)については、今年度、振幅変調した連続超音波によるASEM応答を理論・実験とも確立した。パルス法と比べて実施上で約300分の1(原理的には約3万分の1)の測定時間短縮に成功した。これらの成果は応用物理学会等で発表し、現在論文作成中である。(2)についての成果を以下に述べる。まず、ASEM法による磁気イメージングの理論背景を確立し、フェライト磁石で検証した。また、オーステナイト系ステンレス合金のストレス誘起磁化を引張り試験機におけるその場観察に成功した。これらの成果は応用物理学会、平成25年4月国際会議(AI32)で口頭発表し、また、学術論文としてRev. Sci. Instrum.の5月号にて出版される予定である。さらに、骨組織をはじめとする圧電物質に対するASEMイメージングでも大きな成果が出た。特に、ラットの大腿骨においてコラーゲン結晶性に関与した骨質を画像化できることが判明した。これらの成果は、応用物理学会、超音波エレクトロニクス2012、国際会議(IEEE IUS)にて発表した。また、本研究により、大学院生が超音波エレクトロニクス若手奨励賞を受賞した。上記の実証結果により、「鋼材の非破壊検査の開発」と「骨の医療診断装置の開発」それぞれに関して関連メーカーとの産学共同研究が本格稼動した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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