研究課題/領域番号 |
22360040
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
小池 正記 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究グループ長 (00356958)
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研究分担者 |
三浦 永祐 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (10358070)
黒田 隆之助 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (70350428)
鶴嶋 英夫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科疾患制御医学脳神経外科, 准教授 (50315470)
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キーワード | レーザーコンプトン散乱 / 単色X線源 / 標的指向性DDS / 金コロイド / 相乗的癌治療効果 |
研究概要 |
準単色LCS-X線源の開発に関しては、産総研Sバンド小型加速器を用いたX線源の高収量化研究を行った。昨年度に自己発振まで達成したTi:sapphire結晶ベースの再生増幅型エネルギー蓄積レーザー共振器へ、加速器と同期した種パルス列を導入しビルドアップ増幅を行い、100パルス以上のレーザー蓄積に成功した。また、同時に計算機シミュレーションにより共振器長、凹面鏡半径等の最適パラメータをサーベイし、集光サイズ50μm以下を達成できることを確認した。電子ビームに関しては、昨年度に引き続き、マクロパルス内に10ns程度の間隔で50パルス以上のマルチパルス電子ビームを安定に発生させることに成功した。また、照射密度をあげるためピンポイントX線集光光学系に関しては、ガラス・ポリキャピラリーとX線管球を用いた集光テストを行い、約10倍弱の輝度増強を確認した。光軸調整を含め、単色光源を用いた際には更なる増強が見込まれる。 AT-DDS薬剤の開発と単色X線ピンポイント集光照射による照射効果の検証としては、細胞培養液中に金ナノ粒子を付加して低エネルギーX線を照射したところ、活性酸素の産出量が約2-3割増加したことが確認された。X線源は1.0mmアルミフィルター、1.0mmアルミ+0.5mm銅フィルター、又は1.5mm銅フィルターでエネルギー分布を調整した。細胞培養溶液中には粒径8nmと50nmの2種類の金ナノ粒子が、100mg/mLになるように加えた。悪性脳腫瘍細胞(U251)に金ナノ粒子(粒径8nm)を細胞培養液にそれぞれの濃度で添加して低エネルギーX線(1.0mmアルミフィルター使用)を照射してcolony forming assayを施行した結果、照射線量8Gy,添加金ナノ粒子30mg/mL(培養液中濃度)以上でコントロールに比して有意な細胞増殖抑制効果が観られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
準単色X線源・集光技術、及びAT-DDS薬剤に関して、個々の要素技術開発に関しては、おおむね順調に進展していると考えている。融合研究に関しては、やや遅れているが最終年度での達成が見込まれている。
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今後の研究の推進方策 |
問題点としては、レーザーエネルギーの増強とLCS-X線の集光であるが、前者は励起光学系の最適化及び励起エネルギーの増強により達成が見込まれ、後者は光軸アライメントの困難さが予想されるが自動あおり機構により最適化を行っていく。次年度は、マルチパルス電子ビームとの衝突によるX線収量の増強、及び悪性腫瘍細胞への集光照射を行い、さらにはAT-DDS薬剤との相乗効果の検証を行っていく。
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