研究概要 |
開発する薄状軟組織の計測システムについて,薄い軟組織の変形を微小荷重で計測するための島津製作所製の超微小硬度計を導入した.ここでは特に,通常は三角錐の形状を有するダイヤモンド圧子を用いるのに対して,生体試料でも損傷無く計測できる球状のダイヤモンド圧子に置き換えたシステムを導入した.また物性値の算出については,硬さ試験機用の計測ソフトウエアを球圧子押込からYoung率などの物性値を算出できる仕様のものへ置き換えを開始し,これによる計測も順次実施し始めた.これと併行して,これまでよりも多様な試料の柔さを計測する目的で,汎用試験機を開発の基盤としてヒト肌などをin situ計測できる計測環境を構築した.この環境に関しては,人体の直接計測に加えて多様な食品の計測も実施し,その有用性を確認した. さらに,皮膚などの外表面にある薄状軟組織に加えて,代表的な薄状軟組織である血管についても評価を開始するため,このin Situ計測に関する技術開発のための装置を開発しはじめた.特に装置に関しては,インバータ制御によって脈動流を生じさせられる仕様のものとした.また本研究では,Hertzの弾性接触理論の円管への拡張によって物性値を算出する目的で,試行錯誤の容易さから実際の生体試料に代えて擬似血管ファントムを用いた研究を実施し始めた.この中では,特に手術中でも計測ができる診療デバイスの開発も併行して検討する事とした.
|