研究概要 |
本研究では,複合材料の微視的な繊維束内樹脂含浸を対象として,炭素繊維表面における高分子鎖と表面の相互作用のモデリングを行い,単繊維の束を対象として表面張力卓越流れとしての樹脂含浸の解析を行うとともに,マイクロ流路を用いた実験と微視的その場観察によって検証とモデルへのフィードバックを行う.最後に個々の繊維配置を考慮したマイクロメカニクス解析と結合し,繊維直角方向負荷における微視的な界面破壊発生で強度信頼性を表現し,その高性能化との関係を明らかにすることを目的としている.本年度の成果は次のように要約される 1) 数理モデルの構築 樹脂-空気混相流体が個別に配置された繊維の間を流れる動力学挙動の解析には,高密度比混相流体を表現可能かつ界面自由エネルギーを考慮可能なPhase-Field Navier-Stokes (PFNS)モデルを用いた.また,繊維表面幾何形状モデルとして,Immersed Boundary (IB)モデルを構築した.PFNSモデルをIBモデルに連成させることにより,複雑な繊維束内の微視流動を解析するモデルの基礎を構築した.数値解法については,CFDモデルを用いて,2次元で駆ると座標系を正方格子で一様に離散化した.また,各変数の配置法については,スタッガード格子を用いた 2) 数理モデルの検証 まず,平板上の液滴について検討を行った.IB法を用いて斜面を表現することにより,従来の矩形格子系を用いる方法で発生した振動や液滴位置の変化などの影響を大幅に抑えることができた.円柱上の液滴の静的な安定状態については,従来の手法では接触角により厳密解と界面形状が一致しない場合が発生したが,IB法を導入することにより,常に厳密解と一致することを確認した.二円柱間への液体の浸透についても,IB法を導入することにより,浸透過程および最終の定常状態における対称性の保存を確認することができた
|