研究課題/領域番号 |
22360052
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
汪 文学 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (40240569)
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研究分担者 |
高雄 善裕 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (30108766)
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キーワード | 材料設計 / プロセス / 物性・評価 / 複合材料 / CFRP/金属ハイブリッド積層板 |
研究概要 |
本研究は、一方向連続炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のプリプレグに繊維方向と±θ角を成す互い違いの切り込みを導入した一方向に配列したチョップドストランド(Unidirectionally Arrayed Chopped Stands (UACS[±θ]と呼ぶ(図2))成形材を新しく提案し、高強度、高剛性及び流動性に優れたUACS[±θ]の設計指針を確立すると共に、更にこれを利用した熱残留応力緩和に優れたCFRP/金属ハイブリッド材を開発することを目的とする。H23年度において、計画の通りに、UACS[±θ]の一方向積層板の力学特性や熱膨張係数などについての数値解析研究、UACS[±θ]の一方向積層板の作製試験と内部構造解析試験、UACS[±θ]/Alハイブリッド積層板の引張試験と熱膨張係数を測定する試験を行った。その結果、以下の知見が得られた。 1)切り込み角θがUACS積層板の剛性、強度に大きな影響を与えている。11度程度の切り込みの方で総合的によい剛性と強度が得られた。 2)連続切り込みより、本研究で提案した互いに違い不連続切り込みθのUACS及びバイアングル[±θ]が高い強度を示した。互いに違い不連続バイアングル切り込み[±θ]のUACSが最高の力学特性を示した。 3)切り込み角θのUACSとアルミで積層したCFRP/金属ハイブリッド積層板の作製試験により、UACS/金属は切り込みのないCFRP/金属に比べ、熱残留応力が軽減された。 4)マルチスケール手法による3次元微視構造解析を行い、各種UACS擬似等方性積層板の損傷メカニズムを調べた。その結果により、0度層及び隣接する±45度層の切込が積層板の強度に強く影響し、その他の層の切り込みは影響しないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年3月に東北地方大地震・津波の災害が発生しまして、当初研究費の使用の多い実験を控えて研究を行ってきましたが、その後は回復しまして、おおむね順調に計画通りに進展しています。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ、基本的に計画通りに研究を進めています。残りの2年間も計画通りに、実験及び数値解析を行い、各種UACS擬似等方性積層板の引張損傷メカニズムの解明、損傷・破壊の評価方法の確立を目指します。また、ノッチによる積層板の強度への影響、積層板の疲労特性、疲労損傷進展プロセスなどを実験及び解析で究明していきたいと考えています。更に、本研究で提案したUACSを用い、UACS/Alハイブリッド積層板の試験を行い、熱残留応力の軽減による疲労強度の影響を明らかにした。最終年度までには、本研究で提案した新しいUACS積層板及びUACS/Alハイブリッド積層板に関する実験及び数値解析結果をまとめてデーターベース化して公開し、新しい一方向短繊維複合材料の選択肢を産業界に提供したいと考えています。
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