平成25年度において、以下のような数値解析と実験研究を行いました。 1)マルチスケール解析モデルに界面接合要素や積層板の損傷則を導入し、3種類のUACS積層板の損傷進展解析を行い、各種積層板の破壊メカニズムを調べた。解析結果が前年度の実験結果と一致した破壊メカニズムを示し、本研究が提案した新規の2種類UACS積層板が優れた力学特性を有することを明らかにした。 2)3種類のUACSの試験片サイズによる試験結果への影響の実験を行った。試験片幅が25mmより小さいとき、強度が低下し、25mmより広くなると、強度が一定値になっていることを明らかにした。その原因はUACSのマイクロ構造による幅方向層間剥離の進展への影響によるものである。マルチスケール解析の結果も同様なメカニズムを示した。従って、UACS積層板を構造材として利用されるとき、その形状上の最小サイズが25mmより大きいことが望ましい。 3)ホットプレスによるUACS積層板の作製を行い、静的曲げ試験及び曲げ疲労試験を行った。静的試験では、3種類のUACSが連続繊維複合材料の84%以上の曲げ強度を保持しており、バイアングルUACSが連続繊維複合材料の約90%の強度を有し、一番高い強度を示した。曲げ破壊は圧縮面から始めていることも明らかにした。曲げ疲労試験では、連続繊維複合材料の曲げ疲労(10の6乗)強度はその静的曲げ強度の約80%であることに達し、3種類のUACS積層板は大きな差がなく、それぞれの静的曲げ強度の約65%である。また、疲労破壊は静的曲げ試験と異なり、荷重が小さい場合では、疲労破壊が試験片の引張り側の面から始めており、荷重が大きい場合では、疲労破壊は静的曲げ試験と同様に上面の圧縮面からはじめていることを明らかにした。 4)4年間での研究成果を学会及び国際誌に発表した。発表した論文の一部をまとめて1冊の成果報告書を作成した。
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