研究概要 |
本研究の目的は光学的にナノ形状の検出を可能とするために,ミュラー行列偏光計によるデポラリゼイション(偏光解消)顕微鏡を提案する.一般的に光は回折限界があるため波長以下の空間的な形状計測は困難である.特に,波長以下の構造になると高次の回折光が発生しない.しかしながら,ナノ形状によって生じる反射光や散乱光の偏光状態が変化することが知られている.ここでは偏光情報,つまり,複屈折,旋光,二色性,円二色性,偏光解消の波長特性を高精度に実時間でかつその場評価を可能とするデポラリゼイション顕微鏡を新規に製作し,これによってナノ構造の検出を試みるナノトポメトリーという新規な分野の開拓に取り組むものである. 以上をもとに本年度は,透過型のデポラリゼイション顕微鏡を構築した.これは,光源からの光ファイバプローブによって近接場照明される.近接場距離を一定に保つため,およびサンプルの2次元分布を得るためにピエゾ型xyzステージを導入した.またストークス・パラメータを高速で得るために2重回転偏光計を構築した.これによって,すべてのサンプルの偏光状態,すなわち,複屈折,円複屈折(旋光性),複吸収(二色性),円複吸収(円二色性)およびデポラリゼイション(偏光解消)を4×4要素のミュラーマトリックスで表現した上で,任意の光学素子を透過する際の光の偏光状態をストークスパラメータとして解析する基本技術を確立することができた.
|