研究概要 |
本研究では,水蒸気・水混相噴流による革新的洗浄法と解明するために,固体表面に衝突に着目する.特に,液滴周囲の気体雰囲気条件が,本洗浄法においては非常に重要であると考えているため,周囲気体雰囲気条件を制御可能な実験チャンバを構築した.実験チャンバは真空条件を再現可能なように制作し液滴衝突の様子を観察するために可視化窓を設けた. 実験チャンバ内での液滴衝突実験を行う前に,予備的実験として大気圧雰囲気下での高速液滴衝突実験を行った.ニードル上に成長させた液滴に衝突板を高速で衝突させることにより実験を行った.衝突板は圧縮空気を用いて射出した.液滴衝突速度を数m/s程度から50m/s程度の範囲で制御することが可能となった.衝突液滴の変形の様子は,高速度ビデオカメラを用いて,1,000,000fpsで撮影し,可視化した.液滴衝突後に発生する液膜流れが,衝突速度によって大きく変化することを観察した.低速の場合には固体表面に沿って液膜が流れるが,一定以上の衝突速度になるとsplashが観察された. さらに,水蒸気・水混相噴流による洗浄機構を評価するために,ガラス表面上のアルミニウム蒸着膜に水蒸気・水混相噴流を噴霧し,ノズル走査速度をパラメータとして膜はく離過程を観察した.また,表面切削試験器(SAICAS)を用いてアルミニウム蒸着膜およびフォトレジスト膜のはく離に必要なはく離力を計測した.これらの実験結果より,水蒸気・水混相噴流による膜はく離プロセスについて以下のような仮説を立てた.「まず,高速液滴衝突によって生じる高圧によりはく離スポットが形成され,次に,液滴衝突によって生じる液膜流等の液ジェットのせん断力によってはく離スポットを起点として膜がはく離される.」
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