研究概要 |
(1)超高速応答型感圧塗料(PSP)計測法の高精度化,複合化 新たな感圧感温複合塗料の開発,および,陽極酸化アルミニウム皮膜PSP(AA-PSP)疎水化処理法の改善を進め,時間応答性評価試験を行った.2種類の希土類色素(ユーロピウム,テルビウム)を組み合わせることで,複合塗料が構成可能であるとの見通しを得た.また,AA-PSP用疎水化処理剤として従来から用いてきたステアリン酸は,発光強度を高めるのに有効であるが,時間応答性は疎水化未処理のPSPに比べて約1/2となること,新たに試したフッ素系処理剤は処理前の時間応答性をほぼ維持しつつ,有効な擾水性を示すことを明らかにした.なお,シリカ超微粒子PSPの研究成果を有力国際誌に投稿し(2012年4月掲載決定),国内学協会誌に解説記事を掲載した. (2)PSPと時系列PIVを共存される方法の開発 前年度に実施したドライアイス粒子をPIV用トレーサーとして用いる超音速ダクト流れ計測の結果をまとめ,国内,国際学会にて発表を行った. (3)風洞実験 3つの風洞実験,シリカ超微粒子PSPを用いた遷音速デルタ翼周りの衝撃波振動現象の解明,インレットディストーションをともなうファン面上の圧力分布計測,および,AA-PSPを用いた超音速インテーク用ダイバータ周りの衝撃波構造の解明,を実施し,それぞれの成果を国内学会2報,国際学会2報の形で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間3年のうち2年が経過した.研究目的に掲げた3つのテーマ,超高速応答型感圧塗料の高度化,複合化(温度計測,速度計測),および,非定常空力現象への適用,すべてに着手し,それぞれ順調に進展が得られている.下記に示す課題(3)をクリアすれば,採択時に掲げた目標をすべて達成できる見通しである.
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今後の研究の推進方策 |
本年は研究最終年度であり,当初の研究計画通り,(1)希土類2元素を用いた感圧感温複合塗料の実証,(2)(1)を含めた3つの超高速応答型感圧塗料(AA-PSP,シリカ超微粒子PSP)の定量的な時間応答性の把握,および,(3)はく離流れの渦と物体との干渉にともなう物体近傍場の詳細な非定常渦度・圧力場変動計測,の3つをテーマに研究を推進する.(3)は,比較的規模が大きく,かつ,気流状態が安定している宇宙航空研究開発機構の風洞を用いて実施する.
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