弾性による翼(平板翼、対称翼)の変形と、そのダイナミックな運動(加速度・振幅)が境界層を含む壁面近傍の渦度の成長勾配に与える影響と流体力(揚力と抗力)の定量的評価を行った。 具体的には、以下のことを遂行した。 翼まわりの流れ場のPIV解析では、粒子が境界層近傍に集中しないため、背面/腹面に複数の粒子流出孔を備えた弾性翼を作製し、その挙動や粒子吐出し性能を確認した。試験翼から吐出される粒子を境界層内に集中させることによりPIV計測を行った。PIV計測によるヒービング運動翼の弾性変形と運動が翼近傍の渦度の発達に与える効果の定量的評価を行った。数値解析(ANSYS-CFX 12。0、ANSYS Multphysics)による弾性運動翼近傍の渦流れの評価を行った。6軸力覚センサーによる流体力測定を継続的に遂行した。 これらの結果、以下のことが明らかとなった。 ヒービング運動を行う弾性翼と剛体翼の翼面上に発達する境界層内の渦度の成長の様子をPIV計測により測定することが可能となった。その結果、弾性に影響により、境界層内の渦度の成長は促進されること、その結果として渦度の高い値を持つ渦が後流に吐出される。上記の結果は、流体構造連成を考慮したCFD解析により確認された。弾性運動翼に働く流体力は、弾性翼後縁の変位を代表長さに設定したストロハル数によって、一義的に決定される。 以上のことにより、弾性の影響が境界層の渦の成長・発達に与える効果と発達した渦が流体力に与える効果の解明が進んだ。
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