研究概要 |
液晶の分子形状は棒状である.液晶に電場を印加すると,この棒状分子は重心まわりに回転し,そこに流動が発生する.この発生流動を利用すると,様々な大きさおよび形状のアクチュエータが開発できる.液晶によるしなやかな回転が可能なマイクロモータの実現は,超精密化,超小型化が要求されている次世代マイクロロボット,胃カメラや嚥下式カプセル型内視鏡のような先端医療機器等の開発を大幅に加速すると考えられる.さらに,精密機器メーカーや液晶合成化学業界,情報産業等も巻き込んだ新たな市場の創出をも可能にすると予想される. 本研究では,同心二重円筒の間隙に液晶を充填することで液晶モータのプロトタイプを製作する.印加電圧と回転数,発生トルク,エネルギー効率等の関係を実測するとともに計算結果との比較を行う.また寸法効果について検討し,最適駆動条件を決定する. 平成22年度は,まず購入した数種類の液晶の粘性係数と弾性定数を測定した.次に,同心二重円筒間の液晶流れを計算するためのプログラミングを行った.その際,本研究室で従来構築した各種サブプログラムを利用することでプログラミングの効率化・省力化を図った.完成したプログラムを用いて,印加電圧,液晶の物性値(粘性係数,弾性定数,誘電率の異方性等),モータの寸法を広範囲に変化させて回転数とトルクの大きさを計算した.最後に,計算結果に基づいて,次年度に実際に製作するモータの寸法の概略と,電源接続方法について検討した.
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