共焦点マイクロPIVシステムを改良し、細胞表面極近傍を500nmと非常に高い空間解像度での速度分布計測が可能な計測法を開発した。また、1000fpsで撮像した各断面における粒子画像のペアの間隔を各断面において変化させ、最適化を行い、平均速度の標準偏差が減少し、計測精度を向上させることが可能となった。 本計測法を用いて細胞を培養していない幅400 μm,高さ120μmのPDMS製マイクロ流路内の層流流れに適用し、流路底面からの距離が1-10μmまでの10断面の速度分布の計測値と理論値の比較を行い、良好な一致が見られた。 次に、マイクロ流路内で培養した血管内皮細胞の表面近傍の流れ場に適用し、速度勾配が大きな細胞表面近傍を深さ方向に500nm間隔で計測し、細胞による流れ場の変化を捉えることができた。さらに、深さ方向に1μm間隔で撮像した蛍光粒子像を用いて各断面における細胞の輪郭を捉え、画像処理によって細胞の三次元形状を推定する方法を開発した。 これらにより、細胞表面を覆っているグリコカッリクスと呼ばれる細胞外高分子物質による細胞近傍の流れ場への影響の評価が可能となった。
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