研究課題/領域番号 |
22360093
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
小沢田 正 山形大学, 理工学研究科, 教授 (10143083)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 3次元アクチュエータ / iPS細胞 / 選択的力学刺激 / 3次元動的力学刺激 / 分化誘導促進 / 神経細胞 / 3次元振動ステージ / アクティブ力学操作 |
研究概要 |
生きている培養細胞に対し,任意の3次元方向に動的力学刺激を自在に付加可能なマイクロ3次元振動ステージおよびマイクロアクチュエータを開発し,これまでとは全く異なる力学的原理に基づく培養iPS細胞のアクティブ力学操作・コントロールシステムを構築し,再生移植治療を強力に支援するツール開発をめざして以下の研究を実施した。 1)ピエゾマイクロ3次元アクチュエータシステムの構築:本アクチュエータは,立体Z型カンチレバー状に加工した振動子に,直交3軸方向それぞれの変位が制御できるように複数のピエゾ素子を装着し構築した。先端に細胞用マイクロプローブを設けることにより,個別細胞への選択的力学刺激を付加可能とした。 2)ヒトiPS細胞の神経細胞への分化誘導促進:第2段階として,上記アクチュエータシステムを利用し,マウスおよびヒトiPS細胞から神経細胞への分化誘導を試みた。すなわちiPS細胞コロニーへの局所的直接接触による動的刺激付加の影響を評価し,その有効性を一部確認した。また,分化誘導過程における細胞の力学特性の変遷を検証し,力学刺激付加のための参照データを得た。 3)ピエゾマイクロ3次元振動ステージスシステムの構築:マイクロ3次元振動ステージは,ピエゾ素子を利用した微小一体型振動子とこれに付随する培養ディシュ保持用ステージから成るシンプルな構造を有している。1枚のステンレス板から立体ダブルV型カンチレバー状に加工した振動子に,直交3軸方向それぞれの変位が制御できるように3箇所に複数のピエゾ素子を接着し製作する。これらのピエゾ素子に任意の信号を入力することにより,搭載した培養ディシュに3次元的な振動刺激を付加可能とした。今後,この3次元振動ステージスシステムを用いた細胞への直接接触を伴わない全体的力学刺激加振を行い,iPS細胞から神経細胞への分化誘導における効果,影響の評価を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)ピエゾマイクロ3次元アクチュエータシステムの構築をほぼ完了した。本アクチュエータは,立体Z型カンチレバー状に加工した振動子に,直交3軸方向それぞれの変位が制御できるように複数のピエゾ素子を装着し構築した。先端に細胞用マイクロプローブを設けることにより,個別細胞への選択的力学刺激を付加可能とした。 2)上記アクチュエータシステムを利用し,マウスおよびヒトiPS細胞から神経細胞への分化誘導を試みた。iPS細胞コロニーへの局所的直接接触による動的刺激付加の影響を評価し,その有効性を一部確認した。また,分化誘導過程における細胞の力学特性の変遷を検証し,力学刺激付加のための参照データを得た。 3)マウスiPS細胞の培養技術はほぼ習得したが,ヒトiPS細胞のコントロールについては若干の問題に直面している。特に力学刺激による分化誘導促進技術には,種々の付加条件の特定を含むブレイクスルーが必要な状況である。
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今後の研究の推進方策 |
1)個別細胞への力学刺激付加手段は構築できたので,引続きピエゾマイクロ3次元アクチュエータシステムを利用し,マウスおよびヒトiPS細胞から神経細胞への分化誘導を試みる。すなわちiPS細胞コロニーへの局所的直接接触による動的刺激付加の影響を評価し,その有効性の成立条件の同定・確立を目指していく。 2)ピエゾマイクロ3次元振動ステージスシステムの構築:マイクロ3次元振動ステージは,ピエゾ素子を利用した微小一体型振動子とこれに付随する培養ディシュ保持用ステージから成るシンプルな構造を有している。1枚のステンレス板から立体ダブルV型カンチレバー状に加工した振動子に,直交3軸方向それぞれの変位が制御できるように3箇所に複数のピエゾ素子を接着し製作する。これらのピエゾ素子に任意の信号を入力することにより先端ステージの変位を高精度に制御し,搭載した培養ディシュに3次元的な振動刺激を付加可能とした。今後,この3次元振動ステージスシステムを用いた細胞への直接接触を伴わない全体的力学刺激加振を行い,iPS細胞から神経細胞への分化誘導における効果,影響の評価を目指している。 3)上記を統合し,iPS細胞のアクティブ力学操作による分化誘導促進法の確立を行う。また,これに基づいた再生治療支援ツールとしての3次元動的マイクロ力学刺激環境法の完成を目指す。
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