研究概要 |
本研究では,これまで単純なモデルに対して検討を行ってきた「エネルギーに着目した動的強度評価手法」を複雑なモデルへ適用し,一般化を図ることで,エネルギーベースの限界強度評価手法並びに機械設備の地震後再起動評価手法の基礎を確立することを目的としている。研究初年度である平成22年度は,1質点系モデルにより破損とエネルギーの関係を検討するため,供試体及び試験装置の設計・製作,予備実験を行った。なお,計測装置としては,非接触にて高精度に変位を計測するためのCCDレーザー変位計を設備備品費として購入した。 本研究で使用する供試体として,幅数センチ,高さ数十センチの棒の上部に25kgの質量を載せたものを設計した。供試体の設計にあたっては,有限要素解析や既往の疲労強度計算等により,破損箇所,破損時期の推定を行い,研究代表者が所有している設備で実験可能なサイズを選定した。その結果,棒の断面形状が25mm四方の供試体を基準モデルとした。また,断面係数や断面二次モーメントが基準モデルと等価な断面形状を選定し,様々な形状の供試体を設計した。ここで,断面形状は中実ばかりでなく,中空のものも選定した。供試体の固有振動数は棒の高さにより調整するものとし,ここでは固有振動数が10, 15, 20Hzとなるように設計した。また,供試体の材質としてステンレス鋼と炭素鋼を選定し,材料が破損に要するエネルギーに与える影響も検討できるよう留意した。 次に,予備試験として,以上の設計に基づき製作された供試体に対して自由振動試験,加振試験を行った。自由振動試験では製作した供試体の固有振動数,減衰比が明らかになった。加振試験では実際に製作した供試体が振動入力で疲労破損することを確認した他,その際にエネルギーを算出するシステムを構築した。今後は様々な入力で実験を行い,データを充足させることで,手法の一般化を目指す。
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