研究概要 |
生命体の行動をBehavior as it could be(あり得る生命)をより広い視点から,創造的な可能性のあるロボットの機構,制御法,設計法等を目的とし,平成23年度は以下の成果を得た。 (1)空気抵抗や水抵抗等環境等を物理環境とする力学モデリング方法と空中及び水中の生命体と環境の相互作用及び行動獲得 行動獲得におけるニューラルネットワークの進化計算は,昨年度迄,RCGA(実数型遺伝的アルゴリズム)で実施していたが,今年度は,進化計算としてSPO(粒子群最適化法),CMA-ES(分散共分散行列-進化戦略),ESP(強化部分固体群法),等による行動獲得学習を試みた.これらの計算法は問題による優位性が明らかになった. (2)仮想物理空間における人工生命の形態獲得の研究 今年度は仮想物理空間で形態と行動獲得の関係がどのようになるかについての数値計算実験を,遊泳人工生物を用いて研究を実施した.人工生物の形態としては平板をジョイントで結合したモデルを採用し,平板の高さ(垂直方向),幅(水平方向),長さ(進行方向)の一つを変化させ,ニューロエボリューションによって得られた遊泳行動を調査し,1)高さ方向は遊泳測度に影響しない,幅方向はその体重変化が遊泳測度と負のベキ乗則となる,長さ方向もその体重変化が遊泳測度と負のベキ乗則となることを明らかとした. (3)仮想物理空間における人工生命の行動獲得の研究 これまでの単純行動様式を獲得するのではなく,いくつかの行動を交互に発現させる複合行動獲得法として,前年度にBehavior Composedの概念を提案したが,これを更に発展させ,単一行動においても幾つかの局所解をBehavior Composedの上位ニューロンが組み合わせながら行動を獲得する制御方法及び多目的な行動を学習したBehavior simpleを組み合わせて頑健な行動を上位ニューロンで獲得する制御方法を開発した.また,これらの有効性を弾性体人工生命及び飛翔人工生命体の行動獲得に適用し確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GUI物理モデラーの開発は,ニューロエボリューション機能の実装をほぼ終えており,研究の共通プラットホームの確立がほぼ終えたこと,Behavior Composedの新たな概念と方法論を行動獲得に関して開拓したこと,人工生命の種々のモデルに対して計画した結果が得られている,等が理由である.
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