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2011 年度 実績報告書

連続体ロボティクスに基づく動物に匹敵する俊敏性の機械実現

研究課題

研究課題/領域番号 22360100
研究機関筑波大学

研究代表者

望山 洋  筑波大学, システム情報系, 准教授 (40303333)

研究分担者 武居 直行  首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (70324803)
キーワード知能機能 / 知能ロボティックス / 機械力学・制御
研究概要

本研究のキーテクノロジーである閉ループ弾性体の飛び移り座屈を利用した瞬発力発生機構を中心として,動物に匹敵する俊敏性を有する小型ロボットの開発を行った.
水中を移動する小型移動ロボットに関しては,V字型の閉ループ弾性体の両端を捩ることにより大きな扇ぎ動作を実現する新たな瞬発力発生機構を開発し,この機構に基づいて,全長およそ300[mm]に対して厚さわずか13[mm]という非常に薄型のキック遊泳ロボットを製作した.この遊泳ロボットは,流体抵抗の少ないボディで水を強く蹴ることができるため,短時間で最大秒速2.18体長(0.74[m/s])に達する急推進に加え,最大角速度289[rad/s]に達する急旋回の能力も併せ持つ.停止状態から一蹴りで様々な方向に進むことができる俊敏性を有する遊泳ロボットの開発に成功した.
また,これとは別に,V字型弾性体の両端の位置関係を変化させることによって飛び移り座屈を得る新しい瞬発力発生機構を開発し,この機構に基づく遊泳ロボットの設計パラメータと俊敏性との関係を明らかにした.
一方,連続体ロボティクスの理論に関しては,閉ループ弾性体の新しい形状遷移モデルを導出し,瞬発力を得る際の特徴的な現象である飛び移り座屈を定式化することに成功した.
本年度は,閉ループ弾性体の飛び移り座屈を利用した瞬発力発生機構以外の機構ついても検討を行った.
飛翔ロボットに関しては,シングルロータのスイッチングにより,方向転換が可能となる現象を見出し,小型で簡素な機構でありながら,十分な移動能力を有する飛翔ロボットのアイデアを得た.
さらに,俊敏性を有する小型移動体のみならず,ロボットマニピュレータへも研究が進展した.わずか4分の1秒の間に約1[m]離れた場所にある物体を素早く捕獲できる新しいカメレオン型のシューティング・マニピュレータの開発に成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

陸上を移動する走行ロボットおよび水中を移動する遊泳ロボットに関しては,既に高性能のロボットの開発に成功し,それらの一部に対しては研究発表を行い,高い評価を得ている.空中を移動するロボットに関しては,まだ発展の余地があるが,新たなロボットのアイデアに繋がる現象は既に見出しており,今年度の研究で成果が得られる可能性がある.この他に,当初予定していなかったカメレオン型のシューティングマニピュレータの開発に成功しており,俊敏性を有する連続体ロポティクスの研究を,移動体のみならずロボットマニピュレータに対しても広げることができている.以上のことから,当初の計画以上に研究が進展していると判断した.

今後の研究の推進方策

閉ループ弾性体の飛び移り座屈を利用した瞬発力発生機構に限定せず,広く連続体の力学的機能を模索し,ロボットの俊敏性を追求すると共に,連続体ロボットの理論構築を進めていく.また,最終年度は,社会との繋がりや有用性の方向に研究をシフトしていく.具体的には,研究成果を技術シーズとして広く公開することに加えて,国内外の研究者との交流を広げることにより広く情報を集め,有用性についての議論を積極的に行っていく.

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (13件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 閉ループ弾性体による瞬発力発生機構2011

    • 著者名/発表者名
      望山洋, 山田篤史, 藤本英雄
    • 雑誌名

      日本ロボット学会誌

      巻: 29 ページ: 492-495

    • DOI

      10.7210/jrsj.29.492

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of fish-like robot with elastic fin2011

    • 著者名/発表者名
      Naoyuki Takesue, Youichi Hata, Tatsuhiko Sekiya
    • 雑誌名

      Industrial Robot : An International Journal

      巻: 38 ページ: 252-257

    • DOI

      10.1108/01439911111122743

    • 査読あり
  • [学会発表] 閉ループ弾性体の飛び移り座屈を利用した瞬発力発生機構の設計2012

    • 著者名/発表者名
      木下文, 望山洋
    • 学会等名
      第17回ロボティクスシンポジア
    • 発表場所
      萩本陣,山口県
    • 年月日
      2012-03-14
  • [学会発表] 急旋回能力を有する瞬発力発生機構を用いた薄型キック遊泳ロボット2011

    • 著者名/発表者名
      今井翔大, 望山洋
    • 学会等名
      第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会
    • 発表場所
      京都大学,京都府
    • 年月日
      2011-12-23
  • [学会発表] 閉ループ弾性体を用いた瞬発力発生機構の形状遷移モデリング2011

    • 著者名/発表者名
      高須亮輔, 望山洋
    • 学会等名
      第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会
    • 発表場所
      京都大学,京都府
    • 年月日
      2011-12-23
  • [学会発表] V字型閉ループ弾性体を用いた魚型遊泳ロボット2011

    • 著者名/発表者名
      長澤三喜郎, 武居直行, 関谷達彦, 笠原卓也, 望山洋
    • 学会等名
      第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会
    • 発表場所
      京都大学,京都府
    • 年月日
      2011-12-23
  • [学会発表] 小惑星探査ローバーMINERVA-IIの移動機構-飛び移り座屈現象の応用-2011

    • 著者名/発表者名
      大須賀公一, 大方圭介, 望山洋, 坂東麻衣, 藤本英雄
    • 学会等名
      第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会
    • 発表場所
      京都大学,京都府
    • 年月日
      2011-12-23
  • [学会発表] Shooting Manipulation System with High Reaching Accuracy2011

    • 著者名/発表者名
      Hatakeyama, T., H.Mochiyama
    • 学会等名
      2011 International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS2011)
    • 発表場所
      Hilton San Francisco Union Square, San Francisco, USA
    • 年月日
      2011-09-29
  • [学会発表] 柔軟ロボット学の構築2011

    • 著者名/発表者名
      望山洋
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門第1地区特別講演会「VRとロボティクス」
    • 発表場所
      東北大学,宮城県(招待講演)
    • 年月日
      2011-08-30
  • [学会発表] 柔軟ロボット学によるロボットモーション革命2011

    • 著者名/発表者名
      望山洋
    • 学会等名
      筑波大学新技術説明会
    • 発表場所
      科学技術振興機構,東京都
    • 年月日
      2011-07-19
  • [学会発表] 閉ループ弾性体による瞬発力発生機構を用いた薄型キック遊泳ロボット2011

    • 著者名/発表者名
      今井翔大, 望山洋
    • 学会等名
      第23回日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会
    • 発表場所
      岡山コンベンションセンター,岡山県
    • 年月日
      2011-05-28
  • [学会発表] 有翅跳躍ロボット2011

    • 著者名/発表者名
      井上誠, 望山洋
    • 学会等名
      第23回日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会
    • 発表場所
      岡山コンベンションセンター,岡山県
    • 年月日
      2011-05-28
  • [学会発表] 高いリーチング精度を有するシューティングマニピュレーションシステム2011

    • 著者名/発表者名
      畠山友史, 望山洋
    • 学会等名
      第23回日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会
    • 発表場所
      岡山コンベンションセンター,岡山県
    • 年月日
      2011-05-28
  • [学会発表] 弾性尾ひれを用いた魚型ロボットの小型化およびその遊泳性能評価2011

    • 著者名/発表者名
      関谷達彦, 秦洋一, 武居直行
    • 学会等名
      第23回日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会
    • 発表場所
      岡山コンベンションセンター,岡山県
    • 年月日
      2011-05-27
  • [学会発表] An Impulsive Force Generator Based on Closed Elastica with Bending and Distortion and Its Application to Swimming Tasks2011

    • 著者名/発表者名
      Yamada, A., Y.Sugimoto, H.Mochiyama, H.Fujimoto
    • 学会等名
      2011 International Conference on Robotics and Automation (ICRA2011)
    • 発表場所
      Shanghai International Conference Center, Shanghai, China
    • 年月日
      2011-05-10
  • [備考] ・国民との科学技術対話活動として、国内最大級の科学技術コミュニケーションイベントであるサイエンスアゴラ2011において、研究成果のロボットを使った工作教室プログラム「ジャンプロボットを作ろう」を実施し、来場者人気投票第3位という高い評価を得た.

  • [備考] ・カメレオン型シューティングマニピュレータの研究成果が認められ、IEEE Spectrum電子版に掲載された。

    • URL

      http://spectrum.ieee.org/automaton/robotics/industrial-robots/japanese-researchers-developing-robotic-chameleon-tongue-first

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公開日: 2013-06-26  

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