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2011 年度 実績報告書

弾性表面波モータの高出力限界に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 22360101
研究機関東京工業大学

研究代表者

黒澤 実  東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (70170090)

キーワードアクチュエータ / 機械要素 / 電気機器工学 / 機械力学・制御 / マイクロマシン / マイクロアクチュエータ / 超音波 / レイリー波
研究概要

ステータに用いる弾性表面波素子の波動励振および回収効率に関する検討と,弾性接触解析シミュレーションおよび試作・実験による動作条件の最適化検討した。ステータの電極に関しては,励振および回収効率はそれぞれ80%程度であり,波動の回折効果による開口幅からの広がりを考えると,既に高い効率で動作した。導波路形成による漏れの低減も考えられるが,それほど効果が見込まれないと考えられる。
モータ特性の評価のために,駆動周波数約10MHzで,ステータ基板としては,長さ80mm,幅13mm,厚さ1mmのニオブ酸リチウム128°回転Y板,X伝搬を用いた。スライダについては,ステータの波動伝搬幅より僅かに狭い8mmとし,長さは動作実験の結果をふまえ4mmの素子を用いた。シミュレーションに依れば,波動伝搬パワーからモータ機械出力への変換効率は,40%程度の効率が見込まれた。実験では,ミリメートルの全体寸法オーダーに対して,ナノメートルの平滑度を持って接触を実現することは困難であることが予想されたが,最大32%という高い変換効率が実験により得られた。モータの動作特性としては例えば,予圧40Nのときに,無負荷速度0.9m/s,推力13Nが得られ,機械出力は最大で3Wとなった。
モータとしての質量当たりの出力などを評価するため,予圧機構などを含めて,できるだけコンパクトで安定した動作が可能なモータ構造を検討して試作した。試作したモータについては,速度,推力,効率などの性能試験を行った。無負荷速度の低下が大きく,構造上の問題があることがわかった。また,推力についても実験装置ほどの値は得られていないが,質量約10gのデバイスで,700gの負荷を持ち上げられることを実験により示した。自重の70倍の負荷を持ち上げられる高出力なアクチュエータであることを実証した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

波動伝搬パワーからモータ機械出力への変換効率として30%以上の高い効率が得られている。シミュレーションでは,動作条件によりさらに高い効率も見込まれるが,現実の工作精度を考えると十分に高いといえる。また,モータの出力として,素子重量の70倍もの推力を実現しており,アクチュエータとしては極めて高い推力/重量比を実現していることが実証できた。

今後の研究の推進方策

実験装置においては,かなり高い性能のアクチュエータであり高出力を実現していることを実証している。しかし,動作に関するパラメータが多く,どこが最適値であるかは,様々な条件により異なってくることから,動作例を上げて傾向を示すこととしていく。また,実際のアクチュエータとして考えた場合には,重厚で精密な実験データを軽量でコンパクトな実機でどこまで実現できるかが重要になると考えられる。そこで,実験装置でのデータをまとめるとともに,コンパクトなアクチュエータにおいて,どこまで実験装置に近い動作状況で動作させて,性能向上が可能であるかを検討する必要がある。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 学会発表 (7件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 非線形板ばねを用いた弾性表面波モータの小型化とアクチュエータとしての評価2012

    • 著者名/発表者名
      河瀬達也, 黒澤実
    • 学会等名
      日本音響学会2012年春季研究発表会
    • 発表場所
      横浜市・神奈川大学
    • 年月日
      2012-03-14
  • [学会発表] 積層型弾性表面波モータにむけた両面駆動化に関する研究2012

    • 著者名/発表者名
      上原弘嵩, 黒澤実
    • 学会等名
      日本音響学会2012年春季研究発表会
    • 発表場所
      横浜市・神奈川大学
    • 年月日
      2012-03-14
  • [学会発表] プランジャ型弾性表面波モータの研究2012

    • 著者名/発表者名
      田中宏樹, 黒澤実
    • 学会等名
      日本音響学会2012年春季研究発表会
    • 発表場所
      横浜市・神奈川大学
    • 年月日
      2012-03-13
  • [学会発表] Ultrasonic Motors : vibration generation, friction drive and energy harvesting2011

    • 著者名/発表者名
      M.K.Kurosawa
    • 学会等名
      IEEE International Ultrasonics Symposium 2011
    • 発表場所
      Caribe Royale, Orlando, Fl, USA(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-18
  • [学会発表] 高温環境での利用を考慮したリニアガイドレスSAWモータの試作2011

    • 著者名/発表者名
      黒澤実, 上原弘嵩
    • 学会等名
      第29回日本ロボット学会学術講演会
    • 発表場所
      東京都・芝浦工業大学
    • 年月日
      2011-09-09
  • [学会発表] 弾性表面波モータの高温環境における動作の可能性2011

    • 著者名/発表者名
      黒澤実
    • 学会等名
      ロボティクス・メカトロニクス講演会2011
    • 発表場所
      岡山市・岡山コンベンションセンター
    • 年月日
      2011-05-27
  • [学会発表] 弾性表面波モータの変換効率の検討2011

    • 著者名/発表者名
      黒澤実, 坂野広樹
    • 学会等名
      第23回「電磁力関連のダイナミクス」シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋市・愛知県産業労働センター
    • 年月日
      2011-05-19
  • [図書] アクチュエータ研究開発の最前線(分担)2011

    • 著者名/発表者名
      黒澤実
    • 総ページ数
      576
    • 出版者
      株式会社エヌ・ティー・エス
  • [備考]

    • URL

      http://www.kurosawa.ip.titech.ac.jp/

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公開日: 2013-06-26  

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