本研究では国が提唱するグリーンIT化政策の一課題であるデータ記録システムの低エネルギ・大容量化というテーマに加えて,超高密度光メモリにて将来最も問題視されているジッター(クロック信号とビット列再生信号の時間軸上でのずれ)とエラーレートをいかに低減するかという項目に論点を絞り研究を行っている.ナノパターンド微粒子を記録媒体として利用することにより原理的にジッターが全く発生しない,大容量フォトンモード低エネルギ高密度3次元光メモリの開発が目的である.ナノ微粒子を使ったメモリ媒体からジッターフリー化技術・多値化技術を利用する記録再生顕微機械システムまでの包括的なメモリシステムの実現を目指し3年間での研究開発を行う. 昨年度までに直径200nmのナノ微粒子の周りにバッファリングと呼ばれる非感光領域を形成し,それを3次元的に配列させたナノパターンド光ディスクサンプルの合成・作成に目処をつける予定でいたが,予算削減の報道もあり物品購入を一時停止し,再開後その条件出しに手間取った為,計画が若干遅れ気味であったが,今年度はほぼ設計通りのディスク作成に成功した.また,昨年度までにほぼ開発に目処をつけた光ピックアップとなる低NA(開口数)レンズを使用した偏光干渉レーザ顕微鏡のセットアップを行い,ほぼ予定する分解能,コントラスト比でのピット検出に成功した.その成果を有機化学関係の国際的な論文誌において報告した.
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