研究課題/領域番号 |
22360111
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
吉村 昇 秋田大学, 学内共同利用施設等, その他 (60006674)
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研究分担者 |
水戸部 一孝 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60282159)
鈴木 雅史 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60226553)
張 宏兵 秋田大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (00546088)
カビール ムハムドゥル 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (10422164)
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キーワード | テラヘルツ / 電気泳動 / 可視化技術 / タンパク / TUNNETT / イメージング |
研究概要 |
本研究では,従来,抗体反応を利用して染色しなければ可視化することができなかった血清タンパクの電気泳動技術に,テラヘルツ帯の電磁波を利用した可視化技術を組み合わせることにより,低コストに複数の生体由来物質を同定し,病態の迅速診断を可能にする検査技術を研究開発することを目的とした.そこで,当該年度は「セルロース膜電気泳動法」を利用し,タンパク,アミノ酸等の存在を迅速に可視化可能な生体由来物質に特化したテラヘルツ透過イメージング技術の構築に取り組んだ.本研究で得られた成果を以下に列記する. ①入力信号でサンプルを透過してきた信号を規格化することで計測感度を1,000~10,000階調に向上させることを意図し,これまでのテラヘルツイメージングシステムに「SBD検出器」および「Lock in Amplifier」をそれぞれ1台増設し,試料に入射するTHz波の強度をモニタすることが可能な装置構成に改良した. ②ハーフミラーを設置し,試料に入る入射波強度をモニタすることで,CW-THz波に固有の定在波が発生していることを明らかにした. ③TUNNETTおよびアパーチャ間の距離を微調するための微動ステージを組み込んだ計測系を新たに構築した.これにより,定在波が光路長に依存していることを明らかにし,試料の吸収スペクトルを収集するために最適なステージ位置の調整条件を構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,システムの改良を完了しており,これにより新たな課題も顕在化することができた.一方,タンパクの吸収スペクトルを計測するための分光分析装置が震災により故障したため,吸収スペクトルの計測は次年度に延期せざるを得ない状況となった.そのため,ここでは,顕在化されたCW-THz波に固有の定在波の課題解決に取り組んだ.この挙動を明らかにするために,新たに微動ステージを導入することでTUNNETTの位置をPCから調整できる様に計測系を再構築した.本装置を用いて定在波の挙動を調べた結果,THz波の透過強度がピークとなる位置が必ずしもタンパクのTHz透過イメージングに適しているわけではないことを明らかにし,再現性の高い計測技術を構築することができた.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である次年度に実施する研究開発および到達目標を以下に挙げる. ①THzイメージング技術の構築とサンプル調製技術の確立を目指す. ②THzイメージングの特徴を活かした電気泳動後のタンパク質量分布の計測手法を考案する. ③卵白由来タンパク質のTHz領域およびFIR領域の吸収スペクトルを計測し,環境ストレスが吸収スペクトルに及ぼす影響を調べる.
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