研究課題/領域番号 |
22360113
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
水野 勉 信州大学, 工学部, 教授 (90283233)
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研究分担者 |
脇若 弘之 信州大学, 工学部, 教授 (50240461)
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キーワード | 磁界共振結合形非接触エネルギー伝送 / 効率 / 伝送距離 / インピーダンス / 磁性めっき線 / 近接効果 / 表皮効果 / リッツ線 |
研究概要 |
磁界共振結合形非接触エネルギー伝送の長距離・高効率伝送のためには、コイルのQ値を大きくする必要がある。そこで申請者は、銅線の外周に磁性薄膜をめっきした磁性めっき線(MPW)によって、近接効果に起因する交流抵抗を低減、すなわちコイルのQ値を増加する手法を提唱している。 まず、等価回路に基づいて、伝送効率と反射効率および入力インピーダンスの理論式を導出した。さらに、伝送効率を向上させるためにインピーダンス整合の理論式を導出した。そして、これらの理論式の計算誤差が5%以下であることを実験によって確認した。 次に、Fe薄膜をもつMPWを用いたリッツ線(LMW)コイルおよび銅線を用いたリッツ線(LCW)コイルを製作した。周波数6MHzにおけるLCWとLMWの抵抗の実測値は、それぞれ1.02Ωと0.51Ωとなり、LMWの抵抗はLCWと比較して50%低減した。またQ値の実測値は、それぞれ188と384となり、LMWのQ値はLCWの2.04倍向上した。また、伝送距離20mmにおけるLCWとLMWコイルの効率の実測値は、それぞれ73.1%と82.5%となり、LMWの効率は9.4%向上した。さらに、受信電力10WにおけるLCWとLMWコイルの温度上昇は、それぞれ71.6℃と40.3℃となり、LMWの温度上昇は31.3℃低減した。上記の事項はMPWを用いることでコイルの抵抗増加が抑制されて、Q値が増加することに起因している。 さらに、素線間に生ずる静電容量は損失の原因になる恐れがあった。そこで、周波数13.56MHzにおいて、素線数がコイルの交流抵抗に与える影響について検討した結果、素線間の浮遊容量に起因する抵抗増加は無視できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
伝送効率と反射効率、入力インピーダンスおよびインピーダンス整合の理論式を導出して、理論式の妥当性を確認した。さらに、素線間の浮遊容量に起因する抵抗増加は無視できることを明らかにしており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づいて、磁性薄膜の厚さが異なるMPWを製作して、薄膜の厚さが伝送効率に与える影響を明らかにする。また、磁界および電界強度を測定して、ICNIRPガイドラインに基づいて評価する。
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