研究概要 |
1)短尺Bi-2223テープの外部磁界損失(平行磁界損失と垂直磁界損失)、および、この線材と同等の線材を用いた試験用小コイルの通電損失を液体ヘリウム中で測定した。また、短尺線の損失結果を用いてコイルの各部の磁界(大きさと方向)を考慮した局部損失を予測し、これらを巻線全体で積算する解析プログラムを作成した。さらに、コイルの通電損失の測定結果と局所外部磁界損失積算の解析結果を比較することにより、短尺線の損失特性から同等線材よるコイルの通電損失を予測する手法を検討している。 2)前項の短尺Bi-2223テープについて、4.2Kから77Kまでの温度定点における外部磁界損失を測定することにより、外部磁界損失の温度依存性を明らかにする一環として、本年度は、77Kと66Kにおいて0.25T,60Hzまでの磁界振幅、周波数における交流損失を鞍型ピックアップコイル法により測定した。また、30Kと4.2Kにおいては、4-5T,0.04Hzまでの磁界振幅、周波数領域で交流損失の測定を行っている。 3)商用周波数までの領域で利用できる低損失なBi-2223線材の候補として、これまでに研究グループ(九州大学、住友電工)において、中央部に絶縁層を持つBi-2223多芯テープを提案している。その特性評価のために製作された試作線について、77K、0.25Tまでの磁界振幅、60Hzまでの周波数領域において垂直磁界損失を測定し、従来型のBi-2223多芯テープと比較検討している。本研究課題において、双方について、周波数が大きくなると主要な損失成分となる結合損失を定量化できる理論解析法を明らかにすると共に、従来型と比較して結合損失を大幅に低減できることを示した。今回の試作線はその電流容量が従来型の1/5程度であるため、低損失構造と電流容量の向上を両立できる線材構成について検討を行っている。
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