研究概要 |
本研究は,将来の10MWクラスの洋上風力発電システムに対して,価格および耐環境性の点からリラクタンス型発電機の可能性を検討するもので,研究代表者が提案するセグメント構造スイッチトリラクタンス(SR)モータを発電機として動作させる「セグメント構造SR発電機」と専用の励磁巻線を有し常に励磁をかけたまま用いる「セグメント構造シンクロナスリラクタンス発電機」の2つのリラクタンスタイプの新型同期発電機の性能評価を行うことを目的とする。 平成23年度の研究で得られた成果は以下の通りである。 (D新型SR発電機の最適設計・試作(担当:樋口) 平成22年度の解析的研究より得られた知見を基に,2.2kW,1,800rpmの新型セグメント構造SR発電の有限要素法を用いた最適設計及び試作を行った。発電機は励磁巻線と電機子巻線を別々に巻回し,負荷回路を簡単にした。さらに,発電機,トルク変換機,駆動用誘導電動機を直結した負荷実験システムを作成した。 (2)方向性ケイ素鋼板を用いた場合の特性検証(担当:樋口,阿部) 発電機の効率向上を目指して,SRモータにおいて回転子のセグメント鉄心に方向性ケイ素鋼板を用いた場合の特性を実験により検証し,トルク,効率の向上を確認した。 (3)リラクタンス発電機の低力率の改善に関する検討(担当:辻,樋口) リラクタンス発電機特有の低力率特性の改善方法について理論的に検討した。直列及び並列コンデンサの容量設計を行い,十分な力率改善が可能であることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発電機の設計・試作は計画通りに進んでいる。また,2MWの風力発電用途を想定し,FEM解析により,低速大容量の多極発電機の設計解析を行い,永久磁石タイプに比べて効率は若干劣るが同体格で実現できること等を確認した。現在,試作した発電機の駆動用ドライバの製作が遅れており,その製作を急ぐ所存である。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)平成23年度の研究で設計・試作した新型セグメント構造SR発電機(SynR発電機としても動作可能)駆動用の,ドライブシステムを急ぎ完成させ,実験によりそれぞれの特性を検証する。 (2)また,平成23年度に検討した力率特性の改善方法を実験により検証する。 (3)さらに,上記2種類の新型リラクタンス発電機の特性比較と風力発電への可能性についてまとめる。
|