研究概要 |
研究初年度はインダクタの瞬時鉄損の計測精度の高精度化の開発と高精度ロスマップの作成を行った。また,TDR法を用いた主回路配線基板上のインダクタンスおよびキャパシタンス成分定量的測定技術の開発を行った。 (1)インダクタ瞬時鉄損の高精度計測技術の開発と新しい瞬時鉄損関数の導出 鉄損ロスマップに基づく鉄損計算値手法と,実際のインバータに同期して鉄損を計測するインダクタロスアナライザ(ILA)とを既に開発している。本研究では,両者の計算理論と実測値の差異について検討を行った。その結果,一般的な条件では両者は良く一致するが,特別な条件では10%程度の差異が現れることを確認した。その原因は,動的な非線形磁化特性によることを突き止めた。またケイ素鋼板とパウダーコアの精密損失計測に基づいて,鉄損を構成するヒステリシス損失,渦電流損失,漂遊損失に分離・表記する手法を開発した。 (2)TDRを用いた回路配線基板の精密モデルの計測法 パワー回路基板上に寄生する配線インダクタンスや浮遊キャパシタンスを,TDR法を応用して正確に計測評価する手法を開発した。本研究では,計測ラインにインピーダンス変換要素を用いることにより,低インピーダンス部品のインダクタンス成分の計測波形の分解能を向上できること検証した。また今年度は比較的回路構成が簡単なチョッパ回路のプリント基板を用いて,主回路配線部分の配線インダクタンスと浮遊キャパシタンス成分の値とその分布位置を高精度な計測手法の開発を行った。その結果,チョッパ回路の入力側および出力側の双方からのTDR計測信号を用いることにより,全てのインダクタンス成分の計測の計測に成功した。また,アースパターンを併用することによりキャパシタンス成分の分離計測も可能であることを確認した。
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