研究課題/領域番号 |
22360122
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
劉 小晰 信州大学, 工学部, 准教授 (10372509)
|
研究分担者 |
森迫 昭光 信州大学, 工学部, 教授 (20115380)
安川 雪子 信州大学, 工学部, 特任助教 (10458995)
|
キーワード | 電子材料 / スピンデバイス / スピントロニクス |
研究概要 |
平成23年度において、「研究の目的」、「研究実施計画」に基づく、磁壁電流駆動を用いた新規情報記録デバイスのための基礎研究を行った。より低い磁壁駆動の閾値電流の実現のため、TbFeCo薄膜の作製条件や組成、添加元素とその磁気的・電気的性質(磁気特性ならびにスピン分極率)の依存性を明らかにした。特に、Ta等下地層を用いて、磁気細線の保磁力を大幅に低減する形成方法を開発した。電子の上向きスピンと下向きスピンの状態密度の差から定義されたスピン分極率は、電流駆動磁壁移動の効率を左右する基本的なパラメーターである。平成23年度において、磁壁抵抗効果の測定により、TbFeCoのスピン分極率の間接的な測定方法を開発した。実験結果から、TbFeCo垂直磁化細線中の磁壁抵抗効果は約18%と極めて高いことを明らかにした。加えてメモリとしての高速動作も重要な因子であるため、磁壁移動速度をリアルタイムで測定できるように、微細加工した素子に対して、磁壁の導入や磁壁位置の検出の具体的な方法を開発した。これらの方法により、実用化ための記録ビットの書き込み、読み出すが可能になった。また、電流駆動磁壁の移動速度と材料の飽和磁化、保磁力の関係を明らかにするため、計算機シミュレーションを行った。これらのシミュレーションにより具体の素子、材料やメモリデバイスの開発指針を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した平成23年度の目標の遷移金属-希土類アモルファス材料の磁気及びスピン伝導特性の評価に関して、順調に完成した。複数磁壁の位置制御と自己組織化磁壁ピンニングサイトの導入に関しても、ホール測定により実現した。従って、本研究はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的達成のため、薄膜作製、微細加工、磁気特性測定、スピン伝導特性測定、高周波測定、そして物性解明の計算機シミュレーションなど各プロセスを緊密に提携して、これまでのように効率的に行う。平成24年度は、電流駆動磁壁移動速度に関して、今までの顕微鏡法とともに、ホール効果により電気的な測定法を導入して、効率的に推進していく。
|