研究課題/領域番号 |
22360125
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森田 瑞穂 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50157905)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | シリコン / シリコン酸化膜 / 微小空隙 / 電荷分析 / センシングデバイス |
研究概要 |
金/微小空隙/シリコン酸化膜/シリコン構造センシングデバイスの静電容量‐電圧特性を測定することにより、デオキシリボ核酸のハイブリダイゼーションを電気的に検出した。センシング表面は、シリコンウェハを微細加工後、微小空隙に面するシリコン酸化膜表面にアミノシラン自己組織化単分子膜を付着させ、プローブとなるデオキシリボ核酸を固定化することにより形成した。デバイスは、プローブとなるデオキシリボ核酸を固定化したシリコンウェハと金薄膜を形成した石英基板をシリコン酸化膜スペーサを介して貼り合わせることにより製作した。微小空隙にターゲットとなるデオキシリボ核酸緩衝溶液を導入してハイブリダイゼーション後、微小空隙を純水で洗浄して純水中のデオキシリボ核酸の負電荷に起因する容量‐電圧特性の変化を観測した。ハイブリダイゼーションは、シリコン酸化膜の不安定性の原因となるナトリウムイオンやカリウムイオンを含まない緩衝液を用いて行った。プローブと相補的なターゲットデオキシリボ核酸を導入すると、洗浄後でもセンシング表面の負電荷量が増加することを実証した。センシング表面での負電荷増加量から、ハイブリダイゼーションしたデオキシリボ核酸数を明らかにした。金/微小空隙/シリコン酸化膜/シリコン構造センシングデバイスは、構造が単純であり、製作工程数を少なくできる意義がある。緩衝溶液中でのハイブリダイゼーションは、緩衝液のデバイ長が短いためハイブリダイゼーション効率を向上でき、純水中での電気的検出は、純水のデバイ長が長いため塩基数の多いデオキシリボ核酸のハイブリダイゼーションを検出できる意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画における生体の高感度センシングの実証、生体適合センシング表面の開発、金属/微小空隙/シリコン構造アレイの製作についておおむね順調に進展している。生体の高感度センシングの実証においては、ハイブリダイゼーションは緩衝溶液中で行い、純水中で電気的に検出することにより、デオキシリボ核酸のハイブリダイゼーションを高感度でセンシングできることを実証した。生体適合センシング表面の開発においては、シリコン酸化膜がセンシング表面として安定に機能する緩衝液を明らかにした。純水によるアミノシラン自己組織化単分子膜付着シリコン酸化膜の緩衝液洗浄効果を容量-電圧特性を測定することにより明らかにした。金属/微小空隙/シリコン構造アレイの製作においては、シリコンウェハと石英基板をスペーサ絶縁膜を介して安定に貼り合わせる方法を開発した。
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今後の研究の推進方策 |
研究を研究計画通りに遂行する。生体の高感度センシングの実証を継続して推進する。特に、デオキシリボ核酸のハイブリダイゼーションを高感度でセンシングできることを実証する。生体適合センシング表面の開発を継続する。特に、デオキシリボ核酸ハイブリダイゼーションに適した溶液とセンシング表面との反応性を明らかにする。アレイデバイスによる生体センシングの実証を行う。ライン状シリコン領域形成シリコン・オン・インシュレータウェハとライン状金属薄膜形成石英基板をスペーサ絶縁膜を介して貼り合わせ、アレイデバイスを製作する。微小空隙にデオキシリボ核酸溶液を導入し、二次元分布をセンシングできることを実証する。
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