研究課題/領域番号 |
22360130
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
清水 勝 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30154305)
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キーワード | 強誘電体 / 一次元ナノ構造 / MOCVD法 / ナノロッド / ZnOナノロッド / PbTiO_3 / Pb(Zr,Ti)O_3 / 選択成長 |
研究概要 |
本研究では、従来詳しい研究が行われてこなかった強誘電体一次元ナノ構造をMOCVD(有機金属気相成長)法により作製し、その新規物性を明らかにするとともにその応用を検討することを研究目的としている。 当該年度は、前年度に引き続き強誘電体一次元ナノ構造の作製技術の更なる向上を図った。本研究では、まずZnOナノロッドをMOCVD法により成長させ、それを凸型テンプレートとしてその上に被覆性の良いMOCVD法によりPbTiO_3(PTO)やPb(Zr,Ti)O_3(PZT)を堆積させ、強誘電体/ZnOコア・シェル構造ナノロッドを作製する。強誘電体ナノロッドのサイズや配置制御を目的に、まずZnOナノロッドのサイズ制御を行った。その結果、ZnOナノロッドの長さは成長温度の増加により長くなるが直径は小さくなることが分かった。また、反応圧力が増加するにつれ長さ、直径とも増加することが分かった。この結果から、成長パラメータによりZnOナノロッドのサイズ制御を行うことが可能であることが分かった。 また、ZnOナノロッドの成長条件を途中で変化させる二段階成長法により直径と面密度を制御することができ、一段階成長法では得られなかったPZTシェルの厚み大きいPZTナノロッドを作製することが可能になった。 成長基板としてSiO_2/Si及びPt/SiO_2/Siを用いた場合、ある成長温度や反応圧力領域において、Pt/SiO_2/Si基板上にのみ選択的にZnOナノロッドが成長する事を見出した。この結果から、SiO_2とPt上での吸着、表面反応、脱離などのZnOの初期核形成メカニズムが両者の基板で大きく異なることが明らかになった。また、配置制御されたPtドット上にのみZnOナノロッドを選択的に成長させることができ、選択的に成長したPZT/ZnOコア・シェルナノロッドの作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は主として強誘電体一次元ナノロッドのサイズ制御や配置制御を行ったが、ようやく二段階成長法により直径と面密度を制御することができ、シェル強誘電体部分の厚みが異なるナノロッドを得ることができるようになった。しかし、その結晶構造評価や圧電・強誘電特性評価には至っていない。これは、MOCVD装置の故障修理、改造に手間取ったことや選択成長用特注基板の納期が遅れたことがその主な理由である。
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今後の研究の推進方策 |
コアZnOの直径が同じでシェル強誘電体厚みの異なるナノロッドを得ることができたので、今後は得られたナノロッドやナノチューブの構造評価や圧電・強誘電特性評価を行い新規な機能発現をねらう。また、強誘電体ナノロッドの選択成長技術の確立は完全に達成されていないため、さらなる成長条件の確立や基板の選定・加工を図るとともにVLS(Vapor Liquid Solid)成長によるコアZnOの選択成長も検討する。さらに、ナノロッドの選択成長技術を生かした強誘電体メモリ用立体ナノキャパシタや圧電振動発電素子への応用など強誘電体ナノデバイスに関する検討も行っていく予定である。'
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