研究概要 |
本研究では、強誘電体一次元ナノ構造(ナノロッド、ナノワイヤ)をMOCVD(有機金属気相成長)法により作製し、その新規物性を明らかにすると同時にその応用を検討することを研究目的とした。当該年度は、強誘電体一次元ナノ構造の作製技術や選択成長技術のさらなる向上を図るとともに、物性評価や新機能発現に関する研究を進めた。また、強誘電体ナノワイヤを用いた圧電振動発電素子や強誘電体ナノキャパシタへの応用も検討した。 ZnOナノロッドをMOCVD法により作製し、その上にPbTiO3(PTO)やPb(Zr,TI)O3(PZT)をMOCVDにより堆積させ強誘電体/ZnOコア・シェルナノロッドを作製する場合、まず最初に低温でロッド径の大きいZnOナノロッドを作製し、引き続き高温でロッド径の小さいZnOを作製する二段階成長法を用いることにより、直径や面密度の制御されたZnOナノロッドを作製することが出来た。この制御されたZnOロッドを凸型テンプレートに用い、シェルPZTの厚みが異なるPZT/ZnOコア・シェルナノロッドを作製することに成功した。 SiO2/Si基板上に配列制御された直径130nmのPtを作製し、ZnOの成長を試みたところ、Pt上にのみZnOナノワイヤを成長させる選択成長に成功した。 ナノワイヤ同士を上下に挟み振動させる圧電振動発電デバイスの試作を行い、PZT/ZnO-ZnOタイプで35.6pW/cm2、ZnO-ZnOタイプで140pW/cm2の発電量を得た。また、Ru/PZT/ZnOナノキャパシタの作製を目的にMOCVD法によりPZT上へのRuの成長を試みたが、均一Ru成膜には至らなかった。強誘電体一次元ナノ構造との比較を目的に、三次元PTOナノ島の分極量測定を試み、それに成功した。
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