研究課題
リコンフィギャラブル接合の媒体となる耐熱性高分子溶液の分子設計と調製を行った。今年度は特に、主鎖にイミド基を有する耐熱性、且つ水溶性の高分子溶液を選定した。イミド系の高分子材料は、アミン系の求核試薬による求核的アシル置換反応により、容易にイミド環が開環し、アミドになるため、特定の薬液に対して高い溶解性や分解性を付与できる。分子設計して調製した高分子材料の5%重量減少温度は450℃以上であった(TG-DTA法により測定)。また、少量の非プロトン性の極性溶媒を含む水に任意に溶解させることが可能であった。この樹脂の固形分を約3wt%、非プロトン性の極性溶媒を約4wt%、水を約93wt%で調製した水溶液の表面張力は、約65mN/mと高い値を示した(白金プレートを用いたウェルヘルミ法により測定)。また、この時の粘度は、約10cPであった。スピンコート法によりシリコンウェーバ上に塗布することが可能であり、270℃/30分で成膜することができた。まず、この材料が自己組織的にチップを位置合わせすることが可能かどうかを判断するため、接触角計を用いて各種表面に対する濡れ性を評価した。テフロン系の疎水性薄膜上にこの水溶性耐熱高分子を滴下すると100度以上の高い接触角が得られ付着濡れを示した。一方、ガラスのような親水性の膜上に滴下するとその接触角は5度以下であった。このように親水性、疎水性表面に対して高い濡れ性のコントラストを示した。次いで、親水性の接合領域とその周囲を疎水化した領域を形成したシリコンウェーハを用意した。親水性の接合領域上へこの液滴を滴下すると、周辺領域には拡張せずに、液滴は接合領域全体に円滑に拡張して拘束されることが分かった。したがって、リコンフィギャラブル接合に必要な一過性接着剤として利用できる可能性が高いことが判明した。
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