研究課題
2年目となる平成23年度は、高速変調動作が期待できるnpn構造を有するレーザトランジスタの室温連続発振を実現することを大きな目標として掲げた。具体的に、比較的室温連続発振が容易と考えられるpnp構造を有するレーザトランジスタを作製し、作製上の問題点を分析、改良した。その結果、特に問題となる部分としてベース層を通したキャリアの広がりによって、量子井戸での効率的な発光が阻害されていることを指摘し、ベース層の外側にバンドギャップの異なるサブベース層を導入することによって、効率的な発光を実現した。その結果、世界で初めてとなる1.3μm AlGaInAsレーザトランジスタを実現することができた。この結果を受けて、npn構造を作製した結果、ベース層100nmの素子において、ベース接地エミッタしきい値電流150mA,エミッタ接地ベースしきい値電流電流18mAおよび電流増幅率が約7となる室温パルス発振を実現した。また、電流増幅率を減少させる目的でベース層厚を150nmとした素子において、ベース接地エミッタしきい値電流38mAおよび電流増幅率0.02を持つ素子を作製し、世界で初めてとなる室温連続発振を実現した。ベース-コレクタ間電圧を変化させ、光出力を制御可能であることも明らかにした。今後は、ベース層厚を適切に調整することによって、高速変調動作に必要となる電流増幅率約2を保ちながら室温連続発振を実現する設計に取り組んでいく。
3: やや遅れている
室温連続発振の実現が当初の予定よりも遅れた。しかしながら、最終的には実現でき、本研究の一番の大きな山は達成したと考えられるため、今後遅れを取り戻すことは可能であると考えている。
前述したように、多少当初の予定よりも計画の進捗が遅れている。これを取り戻すため、デバイス作製の並列化を進め、同時期により多くの情報を獲得できるように、取組方法を変更することにした。
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