研究課題
最終年度となる平成24年度は、前年度までに達成したnpn構造を有するレーザトランジスタの室温連続発振を受けて、更なる性能向上を実現する構造の探求に取り組んだ。まず、これまでの研究より、電流増幅率を向上させるとパルス発振のみしか達成できず、電流増幅率を低減すると室温連続発振となることが分かっている。これを解決し電流増幅率が大きい状態でも室温連続発振が可能とするために、内部のキャリアが効率的に量子井戸に捕獲されるようにする(内部量子効率の向上)構造を数値計算により検討した。その結果、量子井戸の上部に位置する層のバンドギャップを増加させることにより、より効率的に内部量子効率が向上可能であることが分かった。同じ電流増幅率を達成するためには層厚を厚くするという方法もあるが、前述した方法の方が内部量子効率の向上効果が高いことを明らかにした。次にこれまでに達成した連続発振する素子を利用して、発振スペクトル特性の詳細な検討を行った。レーザトランジスタは、発振光出力をコレクタ電圧の調整によっても制御可能であるため、通常のレーザダイオードと比べ自由度が高い。通常のレーザダイオードと同様にレーザトランジスタのエミッタ電流を変化させ光出力を可変した場合、発振スペクトルはジュール熱の影響により長波長へ動いていく。一方で、コレクタ電圧を変化させ光出力を可変するとジュール熱は発生せず、逆に短波長側へ動いていくことが分かった。これは、コレクタ電圧の変化により量子井戸付近のバンド構造が変化し、遷移波長が変化することに起因し、構造によりその量を調整することが可能である。つまり、将来的には光出力が変化してもスペクトルが安定な光源を実現できる可能性を示した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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