研究課題/領域番号 |
22360142
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
福田 光男 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50378262)
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研究分担者 |
山口 堅三 香川大学, 工学部, 助教 (00501826)
内海 淳志 舞鶴工業高等専門学校, 電気情報工学科, 講師 (30402663)
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キーワード | 表面プラズモン / 近接場光 / 光・電子融合素子 / 光デバイス |
研究概要 |
平成22年度に実施した光検出デバイス等に関する基礎実験の結果を踏まえて研究を進め、以下の結果を得た。 1.表面プラズモン(及び近接場光)を介した光周波数検出器の開発 Au/Siショットキー型の光検出器(受光は金属電極のAu中の自由電子で行う)の構造を基本に、伝播光を表面プラズモンへ変換するための構造(回折格子)を当該検出器へ組込み、伝播光を表面プラズモンへ変換して検出できることを確認した。さらに、異なった波長(周波数)の光を同時に入射して、2つの光の差周波数のビートが検出されることを確認し、表面プラズモン(及び近接場光)を介した光周波数信号検出ができることを明らかにした。これにより,シリコンに吸収されない波長帯である1300や1550nm帯の光を受光できることを確認できた。 2.ウィスパリングギャラリーモード(WGM)変調器の開発 平成22年度に、同一球内に形成されたWGMを介して、異なった2つの波長の差周波数に対応するビートが発生することを明らかにした。平成23年度は、当該実験系を用いて、同一微小球内のWGMを介して周波数変調信号が伝達されることを確認した。これらをナノスケールまで微小化するために、複数個の微小金属板を近接場光で結合可能な距離にシリコン上に配列し、それらを通して光信号が伝達されることを確認した。これらの結果から、微小な光周波数信号を伝達できる光回路を形成できることを確認しつつある。 3.表面プラズモンを用いた光周波数フィルタの基本技術の検討 平成22年度で明らかにした微小球に発生するWGMの振舞いを基本に、等価な構造をナノスケールまで縮小した金属ディスクで実現し,当該ディスクをシリコン基板上へ作製した。本デバイスにより、伝播光ではなく表面プラズモンによる周波数フィルタ機能を発現させることを目的に、それらの構造の光伝播特性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度研究目標は、新規な光・電子融合デバイスの創製に向けて、1.表面プラズモン(及び近接場光)を介した光周波数検出器の開発、2.表面プラズモン(ウィスパリングギャラリーモード(WGM))変調器の開発、3.表面プラズモンを用いた光周波数フィルタの基本技術の検討、であった。項目1については光周波数検出器を開発し、その性能確認まで実施済みであり、項目2については微小球を用いた実験による限界性能を確認するとともに、集積化を目指し、微小球をナノスケールの金属ディスクへ置き換え、その信号伝達特性を確認できた。項目3については、微小球をナノスケールの金属ディスクへ置き換えた構造により、光周波数フィルタとしての確認ができつつある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、当初の研究計画に基づきほぼ順調に進捗しており、各種の要素技術およびデバイスの形が見え始めてきている。今後はそれらの技術とデバイスの完成度向上を目指すとともに、それらを有機的に結びつけ、プラズモン集積回路の創製に向けた集積化へ展開を図る。
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