研究課題/領域番号 |
22360142
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
福田 光男 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50378262)
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研究分担者 |
内海 淳志 舞鶴工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (30402663)
石井 佑弥 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30633440)
石山 武 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40314653)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 表面プラズモン / 近接場光 / 光・電子融合素子 / 光デバイス |
研究概要 |
平成22および23年度に研究・開発した表面プラズモン検出デバイス等の結果を踏まえて研究を進め、それぞれの技術とデバイスの完成度向上を目指すとともに、それらを有機的に結びつけ、プラズモン集積回路の創製に向けた集積化へ展開を図った。 1.表面プラズモン(及び近接場光)関連技術とデバイスの完成度向上:Au/Siショットキー型の光検出器(表面プラズモン検出器)の検出感度を最大にするために、伝播光を表面プラズモンへ変換するための構造(金薄膜で作製した回折スリット)の最適化(スリットの周期、幅、厚さ、スリット数)に向けた設計と作製を行い、検出感度(あるいは伝播光から表面プラズモンへの変換効率)を10倍以上高めることができた。さらに、表面プラズモン導波路である金薄膜の作製条件の最適化を行ない、石英上の金薄膜において、表面プラズモンの伝播距離を300μm以上とすることができた。また、表面プラズモン伝播の性質を検討し、伝播距離が長くなるにしたがって強度は指数関数的に減少するが、コヒーレンシーは一定に保たれることを理論的・実験的に明らかにした。 2.プラズモン集積回路の創製に向けた集積化:上述した表面プラズモン集積回路要素技術を基本に電子集積回路との融合を図るべく、MOSFETのゲート電極へ、伝播光を表面プラズモンへ変換するための回折スリットを作りつけ、光でMOSFETを動作させる回路の設計と作製プロセス設計を行なった。 さらに、ナノスケールのディスクを介して表面プラズモンを伝播させる構造を設計・製作し、表面プラズモンがそれら複数のディスクを伝播することを理論的・実験的に明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度研究目標は、平成22および23年度で開発した表面プラズモン集積回路に向けた要素技術およびデバイスの完成度向上と集積化への展開であった。 要素技術およびデバイスの完成度向上については、主要部品である伝播光を表面プラズモンへ変換する金属スリット構造の最適化、表面プラズモン導波路の作製条件の最適化等が終了でき、当初計画通りに進捗したと言える。 集積化への展開については、MOSFETのゲート電極へ金属スリットを作り付け、表面プラズモンでMOSFETを動作させるための回路設計およびプロセス設計を完了した。また、ナノスケールのディスクを介して表面プラズモンを伝播させる構造を設計・製作し、表面プラズモンがそれら複数のディスクを伝播することを理論的・実験的に明らかにできた。本項目についても、概ね順調に推移しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
現在にいたるまで、当初の研究計画に基づきほぼ順調に進捗しており、各種の要素技術およびデバイスが明確になってきている。本研究の最終年度である平成25年度は、それら技術とデバイスを有機的に結びつけ、プラズモン集積回路の創製に向けた集積化へ展開を図る。具体的には以下の2項目を目指して、研究を遂行する。 (1)MOSFETとプラズモンデバイス集積回路の開発:平成24年度で設計した集積回路とプロセス設計を基に、MOSFETのゲート電極へ伝播光を表面プラズモンへ変換する金属スリットを作りつけた集積デバイスを作製し、シリコンに吸収されない波長の伝播光(例えば、1550 nm帯の光)をスリットへ入射することにより、表面プラズモンを発生させ、それによりMOSFETが動作することを確認する。 (2)表面プラズモン導波路および変調器の開発:表面プラズモン導波路として、ディスク型を用いた集積回路および表面プラズモンの変調器を組込んだ表面プラズモン導波路を設計・作製し、それらの特性の確認を行なう。
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