研究概要 |
近年地球規模で亜熱帯化する気候変動の影響もあり,日本国内でも,突発的な局地的集中豪雨により,土石の濁流が人命を奪う痛ましい被害が多数報告されている。さらに東日本大震災を始めとする大規模地震の影響によい地盤を緩み崩落しやすい状態にあるエリアも少なくない.一般民家の居住地だけでなく安全性を重視し建設されている老人介護施設や避難所となる市町村施設においても人命が危険にさらされる可能性があることが明るみになった.一方国土の7割が山間部である日本において広域なエリアをカバーし,地滑りをいち早く検知のインフラを構築するのはコスト面と技術面で困難である.本研究では,地滑り検知のため公的施設や一般家庭も含めて自ら設置や運用を可能とする高精度かつ低運用コストを兼ね備えた地盤センシング杭システムを研究し実用化につなげることを目標とした。 滑り検知が技術的に不可能である現状は,山間部で生活する人々にとっては急務の問題であり、また地震に伴う土砂災害が多いのも日本には必要な技術と考える.地震災害時には,事故やインフラ崩壊が同時多発的に発生し,通信が麻痺し,電源供給できない状況が長時間続く.高速道路の破壊でも問題になったように主要道路は地震後に崩落の危険性から寸断され状況の把握や救護が大幅に遅れる可能性がある。大規模な交通網のインフラ麻痺状態や2次災害の危険により,救助や補修工事の足止めになり,災害救助の絶対といわれている72時間以内の救助対応は不可能になる,崩落の危険が地盤を特定し豪雨や地震の災害前後もモニタリングし続けることは安全な復旧においても重要なことである. 既存研究は,長時間の無電源,警報の正確性と無線等の警報の迅速性を兼ね備えていない欠点がある.提案する手法とは異なり,多くの既存の地盤モニタリングの計器は非常に巨大でありコストが高い欠点がある.本研究の目的は,大規模な通信インフラ崩壊時にも災害情報を検知・把握可能にするため,道路や山間部の地盤状況の変化を低コストで高精度に分析する手法を確立すべく、本年度危機の調査および、実際に実験で用いるセンサ杭を作成し12個の無線センサを斜面に検知実験を行った。実験には昨年に続き,防災科研の大型降雨実験施設を活用して行い検知し崩落前の加速度の特性の把握に成功した。またエネルギの有効活用やリスクシュミレータに関する調査研究を行い発表を行った.
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