研究概要 |
(1)広帯域測定系の構築 マルチポート高速リアルタイムオシロスコープ,ベクトル任意信号発生器,広帯域増幅器,帯域制限フィルタなどの高周波回路を調達し,IEEE802.15.6でBANの候補周波数として検討されているUHF(1GHz以下),ISM(産業科学医療用2.45GHz帯),マイクロ波低域UWB帯(4.2-4.8GHz)の3つの周波数帯で伝搬チャネル測定が行える測定系及び制御ソフトウェアを開発した. (2)体表取付用アンテナの開発 体表取付による特性変化の少ないループアンテナの設計と試作を行い,電磁界解析によりその特性を確認した.開発したアンテナは物理形状が既知であるため,数値計算により実験結果を予測することができ,アンテナと人体の相互作用の究明に有用であると考えられる. (3)モーションキャプチャによるチャネルのモデル 人体の動きはアンテナと人体の動的な相互作用を引き起こし,伝搬チャネル変動の大きな原因となる.その影響をモデル化するためには,人体の動きによるアンテナの位置や到来角変化をモデル化する必要がある.本研究では,光学式モーションキャプチャシステムで得られたアンテナの位置変動と電磁界解析により計算されたアンテナパタンを用いてチャネル変動を再構成し実験結果との比較を行い,本モデル化手法の有効性を一部確認した. (4)センサネットワークの構成や通信方式を検討 上記(1)で開発した測定系を用いてUHF帯における複数のセンサノードのチャネル変動を同時に測定することで,ノード間のチャネル変動の相関関係を求め,複数センサによる協力伝送が有効であることを確認した. (5)小型測定系の開発 伝搬測定時に測定器とアンテナを接続するケーブルにより生じる実験シナリオへの制約やチャネル変動への影響を軽減するために,受信信号強度ロガーを内蔵した人体に取り付け易い小型センサノードの開発を行っている.
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