研究概要 |
(1)体表通信路特性からのアンテナの寄与の分離方法の検討 ・実験で人体近傍に設置するアンテナの特性について,チップアンテナメーカより技術データを入手して,実装基板を含めた特性の検討を行なった. ・アンテナ特性の多重極波源による表現と整合性が良い一般化多重極法を使用し,一様媒質人体に対する電磁界分布を計算して,人体近傍のアンテナ特性の多重極波源による表現を試みた. ・人体の動きを3Dアニメーションソフトウェアやモーションキャプチャで広く使用されているスケルトンデータで表現し,これに対応する誘電体円筒の組み合わせとしてモデル化する方法を検討し,時間領域差分法を用いて解析した.その結果,よりリアルなモデルとほぼ同様のチャネル特性を得ることができた. (2)人体の動作によるリンク間遮蔽特性の解析と高信頼性通信方式の検討 ・複数センサノードにおけるチャネル特性と人体の動作との相互相関関係の解明を行うために,高速サンプリングオシロスコープを用いて,複数センサにおける広い周波数範のチャネル変動が同時測定可能な測定システムを構築し,動作検証を行った.また,人体動作時におけるチャネル特性を測定し,ノード間の相互相関を解析した. ・2.4GHz帯で動作するZigBeeセンサノードを改造したウェアラブルチャネルサウンダを開発した.複数のセンサを被験者の体に取り付け,日常生活を模擬したシナリオで通信路測定を行い,人間の動作により生じる遮蔽の相関関係を統計的に解析した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーションモデルについては,特に人体動作の簡易モデル化に成功するとともに、2.4GHz用により精細なボクセルを使用した人体動作モデルを作成して,モデル構築の見通しが良くなったため,アンテナのモデル化の遅れと相殺され,全体としては概ね順調といえる.実験も同様にオシロスコープによる測定が遅れ気味であるが,ZigBeeセンサによる実験は予定より進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)体表通信路特性からのアンテナの寄与の分離方法の検討 ・アンテナ特性については,まだ実験の再現性が十分でないことから,引き続きシミュレーションを試みるとともに,実験における同軸ケーブルの影響についても考察する. ・電磁界シミュレーションの方法については,一般化多極法と合わせて,これまで使用してきた時間領域差分法も引き続き使用し,人体近傍のアンテナ特性の多重極波源による表現を試みる. ・有効性が確認された円筒モデルについては,モーションキャプチャを使用して人体骨格の動きを抽出し,通信路特性を推定することを試みる. (2)人体の動作によるリンク間遮蔽特性の解析と高信頼性通信方式の検討 ・高速サンプリングオシロスコープを用いた複数センサノードにおけるチャネル変動の同時測定では,サンプル及び動作の種類を増やして測定を行う.この結果を用いてBANシステムのコーディネータノードにおけるダイバーシチ受信特性を明らかにする予定である. ・ZigBeeセンサノードを改造したウェアラブルチャネルサウンディングは,引き続き遮蔽の動特性を考慮したBANシステムの協力伝送に供する通信路モデルを開発する予定である.
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