(1) BAN伝搬解析手法の開発 【モーションキャプチャを用いた人体の動きのモデル化】携帯式モーションキャプチャシステムを新たに導入し,任意の場所における通信路特性の測定および人体数値モデルの構築を同時に行う測定システムを構築した.具体的には,モーションキャプチャシステムとベクトルネットワークアナライザを使用し,30フレーム毎秒の時間分解能をもつ同期測定を実現した.また,モーションキャプチャシステムが出力するスケルトンデータをもとに誘電体円筒を組み合わせたモデルを構成し,さらにボクセルモデルへ変換することで人体の数値モデルを得る方法を確立した. 【電磁界解析】アンテナの放射特性を球面調和関数もしくは多重極波源(固有モード)の和で表現し,通信路特性を送信アンテナと受信アンテナの固有モード間の伝達関数により等価回路表現する手法を確立し,具体的なアンテナを考慮して直接シミュレーションした結果が等価回路表現と一致することを自由空間において確認した. (2) 人体の動作によるリンク間遮蔽特性の解析と高信頼通信方式の検討 【複数アンテナを用いたダイバーシチ効果の検討】高速サンプリングオシロスコープを用いた超広帯域無線信号に対する複数通信路の同時測定結果を用いて,コーディネータノードにおけるアンテナダイバーシチおよびレイク受信機の特性改善効果を定量的に評価した.10dBを超える高いダイバーシチ効果が得られることを明らかにした. 【マルチホップ中継を用いた協力伝送効果の検討】ZigBeeセンサノードを改造した2.4GHzのマルチノードチャネルサウンダによる複数通信路の同時測定結果を用いて,直接通信路と2ホップ再生中継通信路を合成する協力伝送方式における中継ノードの選択方法を明らかにした.10%時間率において送信電力換算で17dBの利得を得た.
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