研究概要 |
全周光線取得については、大きさの異なる2枚の楕円面鏡より縮小実像を作り、それを走査ミラーと高速度カメラを用いて撮影することにより高密度に全周光線を取得する方式を考案した.この光学系を設計し、得られる縮小像をレイトレーシング法により求めた結果、このシステムより、走査ミラーより大きい物体の動的シーンの撮影が可能となるが、取得画像に大きい歪みが発生することが明らかとなった。走査ミラーの角度と楕円面の大きさと楕円率をパラメータとして実験を繰り返し、光線の歪みが楕円面鏡の形状に大きく依存することを見出した。更に、走査ミラー像を撮影することにより得られる光線と,実空間を直接撮影することによって得られる光線との対応関係を調べ、歪み補正の手掛かりを得た。 高能率光線取得については、CTで用いられるラドン変換を光線取得に適用して、多数の光線の重畳情報を取得し,それから原光線情報を復元する仕組みを研究した。直交光線空間の場合、実空間の一点を通る光線群は,光線空間の水平断面の直線上にある光線群に等しいことから、実空間の一点を通る光線群の輝度の和が、光線空間のCT投影データに対応することを見出した。この結果により、一点を通る光線群をレンズにより集光し,フォトダイオードによってその光線群の輝度の総和を取得する高能率光線取得方式を考案した。この取得系は、複数の可変焦点レンズと複数のフォトダイオードによって構成される。これによって得られた多数の光線の重畳情報を逆ラドン変換することによって、光線空間が復元されることとなる。
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