研究課題/領域番号 |
22360151
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷本 正幸 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30109293)
|
研究分担者 |
メヒルダドパナヒプル テヘラニ 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (70554830)
|
キーワード | 全周光線取得 / 高密度光線取得 / 高能率光線取得 / 回転走査ミラー / 高速度カメラ / 楕円面鏡 |
研究概要 |
昨年度に考案した、大きさの異なる2枚の楕円面鏡より縮小実像を作り、それを回転走査ミラーと高速度カメラを用いて撮影する方式によって、走査ミラーより大きい物体の全周光線を高密度に取得することが可能となったが、取得画像に大きい歪みが発生した。本年度は、本光学系の歪み発生メカニズムを研究し、この歪みを大幅に軽減できる新たな光学系を考案した。この光学系は、従来の楕円面鏡のシステムと同様に大きさの異なる2枚の楕円面鏡より構成されるが、下部の楕円を斜めに傾けた状態で上部の楕円と焦点を共有させたものを、上部の楕円の2焦点を通る中心軸において回転させた形状の鏡面を利用する点が異なる。楕円面鏡の一方の焦点を通る光線はもう一方の焦点へ向かうように反射される性質があるので、下部の回転楕円面体の中心に被写体を置くとき、本光学系によって、被写体正面から発する光線が下部の楕円焦点を経由し,さらに共有させた中央の焦点を経由し、最終的に上部の小さい楕円面鏡の一番上の焦点に結像することで、被写体の正面像の縮小光学像を作り出すことができる。これにより、垂直方向の光線に関しては、斜めに傾けた楕円の下部の焦点に置かれたカメラから直接取得するのと同じ光線を、被写体の全周囲から取得することができた。また、従来の楕円面鏡システムよりも取得される光線の経路が被写体水平方向から見た経路に近いものが取得されることや、反射鏡面との距離を大きくとることができるため、被写体の形状によって正面からの光線が遮蔽される問題も解決できた。高能率光線取得については、昨年度の直交光線空間の高能率取得方式を極座標光線空間取得方式に発展させる研究を行い、実現可能な方式を絞り込むことができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高密度全周光線取得に関して、従来問題となっていた光線の歪みを、垂直方向については完全に解決できる方法を発見できた。
|
今後の研究の推進方策 |
高密度全周光線取得に関して、水平方向の光線の歪みの発生原因の探求と解決方法を研究する。 高能率光線取得に関しては、極座標光線空間について、直交光線空間の高能率光線取得で用いたラドン変換に相当する新しい手法を研究する。
|