研究概要 |
実験に基づく理論解析により,遠隔無線制御系の動作と無線通信路・電力線通信路の性質の関係を明らかにした.実験では,フィードバック制御系として回転倒立振子を,またフィードフォワード制御系として小型台車を採用した.また通信路としては,一般的な無線通信路の他に,周期定常性で特徴付けられる電力線通信路を用いた. 研究により,得られた主要な結果は以下の通りである. *無線系の特徴を活かし,複数の機器が互いに相手の制御情報も受信し利用することで,動作の同期を確保することができる. *品質に周期性が有る通信路では,通信路の周期と制御対象の制御周期との関係が重要である. *周期性通信路と定常通信路を用いた遠隔制御系比較すると,データ通信品質(誤り率等)の優れた回線が,必ずしも良い制御品質を実現するわけではない. *通信誤りがあることを前提に設計を行うことで,通信回線の品質劣化による制御品質への影響は大幅に軽減可能である. 本研究は,今日まで殆ど研究が行われていない遠隔無線制御系の動作と無線通信回線の性質の関係を明らかにしたものである.遠隔無線制御は,宇宙航空機器制御のような用途だけでなく,工場内産業機器制御やスマートグリッドに代表される広域大規模システム制御にも不可欠である.本研究が明らかにした制御(特に協調動作制御)のための無線通信の必要条件や設計指針,さらに,無線通信回線や電力線通信回線通信の特徴を活かした制御品質向上手法は学術的だけでなく工業的にも意義がある.
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