研究課題
実験に基づく理論解析により,遠隔無線制御系の動作と無線通信路・電力線通信路の性質の関係を明らかにした.実験では,フィードバック制御系として回転倒立振子を,またフィードフォワード制御系として小型台車を採用した.また通信路としては,一般的な無線通信路の他に,周期定常性で特徴付けられる電力線通信路を用いた.研究により,無線系の特徴を活かし複数の機器が互いに相手の制御情報も受信し利用することで動作の同期を確保することができること,品質に周期性が有る通信路では通信路の周期と制御対象の制御周期との関係が重要であること,周期性通信路と定常通信路を用いた遠隔制御系比較すると,データ通信品質(誤り率等)の優れた回線が必ずしも良い制御品質を実現するわけではないこと,通信誤りがあることを前提に設計を行うことで通信回線の品質劣化による制御品質への影響は大幅に軽減可能であること等を明らかにした.本研究は,今日まで殆ど研究が行われていない遠隔無線制御系の動作と無線通信回線の性質の関係を明らかにしたものである.遠隔無線制御は,宇宙航空機器制御のような用途だけでなく,工場内産業機器制御やスマートグリッドに代表される広域大規模システム制御にも不可欠である.本研究が明らかにした制御(特に協調動作制御)のための無線通信の必要条件や設計指針,さらに,無線通信回線や電力線通信回線通信の特徴を活かした制御品質向上手法は学術的だけでなく工業的にも意義がある.
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿って順調に推移している.平成23年度だけに限っても査読付英文学会論文誌2報,招待講演5報を含む成果を得ることが出来た.
研究計画に従って研究を実施すると共に,無線通信分野だけでなく制御分野での発表も行うことにより多方面からの研究への評価を得るようにする.
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 5件)
IEICE Transactions on Fundamentals
巻: vol.E95-A, no.4 ページ: 697-705
DOI:10.1587/transfun.E95.A.697
巻: vol.E95-A, no.4 ページ: 706-712
DOI:10.1587/transfun.E95.A.706