研究課題
本研究は,複数機器の同時無線制御による協調動作を取り上げ,遠隔無線制御系の動作と無線通信回線の性質の関係を明らかにする事を目的とする.具体的な制御系としては,比較的低速で動作する全方向移動台車を可視光通信によりフィードフォワード制御する場合と,それよりも高速な動作を行う非線形劣駆動系であり安定性と追従性のトレードオフが存在する複数の回転倒立振子をフィードバック制御する場合を考える.本年度において,可視光通信によるフィードフォワード制御では,可視光セルラ方式では受信機の指向性(視野角)制御によりセル間干渉の大幅な軽減が可能であること,受信機の視野角を定めるだけでは干渉が無視できず通信が困難な領域が存在すること,隣接する複数の照明器と協力して情報を伝送する協力伝送でセル当たり収容可能機器数の増加が可能であること等を示した.無線通信路を介したフィードバック制御系において最も重要な成果は,無線階層と制御階層を統一的に捉えシステムの安定性,追従性の双方を同時に達成することが可能であることを示した点である.具体的には,制御層の状態に基づいて誤り訂正方式の強度や伝送優先度を適応的に変更する手法,状態オブザーバでの予測を事前情報に用いた最尤判定受信機設計手法などを提案しその性能を示した.また,協調動作を行う無線制御機器群の制御においては,従来の安定性,追従性だけでなく相互同期性という指標が必要であることに着目し,この指標に対しても無線階層と制御階層を統一的に捉え設計することの有効性を示した.電力線通信による制御系の場合は,通信路特性が周期変動するため,その周期性を活用し通信路状態が良いタイミングで伝送されたデータに基づいた予測制御を行うことで,制御品質の向上が図れることを示した.これも通信層と制御層の協調動作の意義を示していると言える.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEICE Transactions on Fundamentals,
巻: vol.E96-A, no.5, ページ: to be published