(1)WDM信号パラメトリック一括増幅回路構成技術の検討:前年度の検討によりWDM信号を低い波長間クロストークで増幅できる可能性が高いことが分かった周期分極反転強誘電体結晶導波路について、波長間クロストークを一層低減化する構成法を理論的に検討した。数値計算の結果、導波路中に信号光帯域と励起光のみを透過する光バンドパスフィルタを挿入する手法により10dB程度波長間クロストークを抑圧できる可能性を明確化した。また、PSA多段中継時に累積する光振幅雑音を抑圧するため光非線形サニャック干渉計を振幅抑圧回路として用いる方法を検討し、その適用範囲を明確化した。 (2)光位相同期回路構成法の検討:前年度までに開発したディシジョンドリブン光位相同期回路と、動作パラメータを最適化した光周波シフタ駆動回路からなるPSA励起光位相制御回路と非線形光ループミラー構成のPSA利得部と組み合わせて、位相感応増幅実験を実施した。その結果、励起光ON/OFF利得を確認した。これは光位相同期ループ回路のみを用いたPSK信号のPSA増幅では世界で初めての実験結果であり、今後の実用的なPSA回路構成技術の確立につながるものである。 (3)PSA中継増幅による再生中継間隔の評価:QPSK信号のPSA多中継増幅伝送系における、各PSAの励起光位相誤差の累積によるパワーペナルティを理論的に評価し、各PSAの励起光位相制御部に求められる許容位相誤差を明確化した。PSA多中継伝送系における位相誤差の影響を明確化したのは世界で初めてである。
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