研究課題/領域番号 |
22360156
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
尾知 博 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (50185617)
|
研究分担者 |
吉澤 真吾 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20447080)
黒崎 正行 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (80404094)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | ネットワーク / 無線LAN / MIMO |
研究概要 |
本研究では、2Gbps以上の伝送レートを有する超大容量マルチユーザMIMO無線LANシステムのLSI化設計とその国際標準化を進めている。具体的に本研究開発では、2.5-3Gbps程度の超高速伝送レート(超大容量)を有するコグニティブ方式による超低消費電力8x8MIMO無線LANシステムのチップ化設計さらにFPGA検証ボードによる実証システム実験を2013年度末までに実施する。また、その成果をIEEE802.11ac国際標準化委員会へ随時技術提案し、本研究開発の方式を国際標準化の一部とすることも目的としている。 これまでの実績を大別すると、1.マルチユーザMIMOの実現に必要不可欠な送信側プリコーダのアルゴリズム開発およびその回路設計、2.IEEE802.11ac国際標準ドラフトに基づくシステムLSIの設計、3.IEEE802.11ac国際標準に2件の提案が採択された。 具体的には、1は2Gbps以上の伝送レートを実現可能な8x8MIMO用のプリコーダ方式を並列処理を用いて実現できた。また、2は2ストリームで2ユーザまでを対象としたマルチユーザMIMOシステムの物理層の設計とそのFPGA検証ボードで実装が確認できた。3については、物理層の技術について2件の提案が採択された。 以上のように、従来において未踏分野である、8x8以上のMIMOシステムのチップ化設計およびそのマルチユーザ無線システムへの応用は、学術的に高い新規性とインパクトがあるばかりでなく、提案技術が採択されるなど、国際標準化活動が実施されており、本研究の成果が国家的科学技術戦略という観点からも貢献していると言える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.マルチユーザMIMOシステムの開発; コグニティブ無線の概念を導入した低消費電力化MIMOデコーダ、ASIPを用いたプログラマブルなプリコーダの開発など、2Gbps以上のビットレートを実現する8x8以上のマルチユーザMIMOシステムの物理層に必要な基礎技術の研究開発をほぼ終えることができた。 2.IEEE802.11ac国際標準に基づくマルチユーザMIMOシステムのLSI化設計と実装検証;2ユーザ対応の実システムの物理層のRTL設計を完了することができ、FPGA実装検証を実施している最中である。 3.IEEE802.11ac国際標準; 同標準化委員会に継続して出席し、これまで11件の提案を続けることにより、そのうち2件が世界の無線システムのチップベンダーであるQualcom社とBraodcom社との共同提案で標準化に採択された実績を残すことができた。IEEE802.11ac規格の新しい無線LANシステムに日本の技術が使われることになる。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度の研究目標は以下の通りである。 1.IEEE802.11ac国際標準に基づくMAC層の開発 特にアクセスポイント側のビームフォーミングに関するMAC関数の実現が高度な技術内容を含んでおり、他予算も併用しながら国際交流に基づく開発チームで開発を実施していく。 2.IEEE802.11ac国際標準に基づくマルチユーザMIMOシステムのLSI化設計と実装検証 1のMACとこれまでに開発が完了している物理層をマージし、さらにEthernetなどのプロトコルスタックまで実装したSoCのプロトタイプをFPGA検証ボードで実装検証を行う。 3.IEEE802委員会に継続して出席し、11ac委員会以外の新しい無線LANシステムのワーキンググループに参加するなど、本研究成果をさらに発展させるべく国際標準化活動を継続する。
|