研究概要 |
(1)受信信号電力だけを使った位置推定は推定精度が著しく低いので,各ロボットにカメラを搭載し,カメラ画像使って位置推定を行うことを検討し始めた.しかし,スワームが将来ミクロオーダになることを考えると,ミクロロボットにカメラを搭載することは不可能になるので,カメラ画像の使用はあくまでも補助的なものとし,原点に立ち返って,受信信号電力だけを使って位置推定ができるようにすることを検討した.ここにブレークスルーを見出したいと思っている. (2)かってに動いているターゲットの位置を推定する場合と異なり,ロボットスワームでは,ロボットの移動距離を既知とできる.従って,ロボットの移動距離を拘束条件にして位置推定が行える.ロボットスワームならではの,この特徴を活かした位置推定法を提案し,理論と計算機シミュレーションでその特性を解析した.この方法では,位置推定のアルゴリズムが複雑となることから,まだ完全にはそのアルゴリズムが動作していないが,平成24年度の早いうちに結果が出せると思っている. (3)ロボット間ネットワークには障害物や他ロボット等の妨害に対してロバストなことが求められる.ロボット間に複数のルートをはり,同じ情報を冗長に並列に伝送するマルチパスルーチングを提案した.ここでは,ルート間の距離を定義し,障害物に合わせてルート間の距離を自由に設定できる. (4)ネットワークをロバスト化する方法には,上記のマルチパスルーチングの他に,送信ダイバーシティを用いた協調伝送が考えられる.この協調伝送では,適する協調ノード(ロボット)の選択が鍵となる.この協調伝送における協調ノード選択法について検討することを開始した.協調伝送は,マルチパスルーチングを組み合わせることができ,相乗効果が期待できる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論と計算機シミュレーションによる評価を前提とした場合,提案するロバストなネットワーキング法およびルーズなコーディネート法の研究は順調に進んでいる.一方,実機を用いた実験による評価を前提とした場合,提案するロバストなネットワーキング法を実装し評価することは難しくないが,現在購入可能な無線通信モジュールでは,受信電力測定しか行えないので,コーディネートを行うための位置推定精度が著しく低い.従って,提案するルーズなコーディネート法を実験で評価することが難しい状況になっている.
|
今後の研究の推進方策 |
(1)送信ダイバーシティによる協調伝送を利用したロボット間のロバストなルーチングについて,計算機シミュレーションと実験により,さらに優れる方法を検討する. (2)マルチパスルーチングと協調伝送を融合させる方法を計算機シミュレーションと実験により検討する. (3)群ロボットの行動制御の特徴を活かした新しい位置推定法を,理論と計算機シミュレーションにより評価検討する. (4)新しい位置推定法を実験で評価できるように検討する.
|