本年度は昨年度に続いて災害等の輻輳時のネットワーク管理を中心に検討を行った. 平常時の通信と災害時の通信では,QoSが同じであってもQoEは大きく異なる.災害時のQoEとQoSの関係に関して昨年度調査を行い,ある程度の傾向が分かったので,本年度は調査の精度を高めるとともにモデル化を行った.災害時のQoEをQoSから推定するには,平常時とは違うQoSパラメータを用いる必要があり,それらの測定方法について検討を行った. 輻輳時に通信料金を高くすれば,不要不急の通信は行われない.しかし,輻輳時に料金を高くすることは,ユーザに抵抗感がある.同じことであるが,閑散時に割引を行い,輻輳時に割引率を小さくあるいはゼロにするなら抵抗感は少ない.このような方式に関して,測定結果に基づく輻輳の判断や割引率の変更方法について検討を行った. アドホックネットワークは災害時における通信に有用とされているが,適用には解決すべき課題がある.その一つが負荷の偏りや不適切経路によってネットワーク全体のトラヒックが増大し,輻輳が生じることである.これを解決する方法として,測定に基づいて優先転送端末を定める方法,更には中継端末が再送制御を行う方法について検討を行った.また,バッテリを気にすることが不要な固定ノードがある場合についても検討を行った.昨年度検討を行った測定に基づいて電池の消耗を少なくするルーチング,道路を走る自動車間でのルーチングについても更に検討を進めた. 精度が高いアクティブ測定方法に関しても引き続き検討を行い,背景トラヒックによる精度の悪化の大きさについて実験による検討を行った.
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